障害のある方の働き方には、一般雇用だけでなく障害者雇用や特例子会社、就労継続支援、フリーランスなど多様な選択肢があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、何を重視するかで最適解は異なります。自分に合わない働き方を選ぶと、長続きしない原因にもなりかねません。今回は、障害のある方の主な働き方と選び方、活用できる支援サービスについて解説します。
障害者の働き方

障害のある方の働き方には、一般企業での就労から福祉サービスの利用、フリーランスまでさまざまな選択肢があります。ここでは、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説します。
一般雇用
一般雇用とは、障害の有無にかかわらず応募できる採用枠で働くスタイルを指します。障害者雇用枠とは異なり、採用枠として区分されている点が特徴です。
なお、一般雇用においては障害の開示は必須ではなく、開示せずに働く「クローズ就労」だけでなく、開示した上で働く「オープン就労」が含まれる場合もあります。
【メリット】最大のメリットは、給与水準が比較的高く、求人数も多いため、職種や業種の選択肢が広がる可能性が高い点です。正社員として採用された場合、昇給や昇進に特別な制限が設けられることは基本的になく、責任ある仕事を任される機会も広がります。
成果次第では高収入も目指せるため、やりがいや自己成長を重視する方にとって魅力的な働き方といえるでしょう。
【デメリット】勤務シフトや残業、出張・転勤などに柔軟に対応することが求められる場合があります。障害を開示していないため、合理的配慮を求めにくく、体調管理や通院の調整に苦労することもあります。
また、障害が後から会社に伝わった場合、障害の程度によっては、業務内容や働き方の見直しが行われる可能性もあります。
障害者雇用
障害者雇用は、障害があることを企業に伝えた上で、合理的配慮を受けながら働くスタイルです。多くの場合、障害者手帳の提出が求められます。
【メリット】入社前の話し合いを通じて勤務時間や業務内容などについて配慮を受けられます。あらかじめ障害特性への理解を得た上で働けるため、通院や服薬について過度に気を遣う必要が少なく、安心して働きやすい環境が整いやすいといえるでしょう。
さらに、就労移行支援などを利用して就職した場合は、就職後も定期的な定着支援を受けられることがあり、長く働き続けやすい点も特長です。
【デメリット】一般枠に比べて求人数が少なく、仕事内容が限定的になりがちです。非正規雇用の割合が比較的高く、給与水準が抑えられているケースも見られます。そのため、キャリアアップの選択肢が少ないと感じる方もいるかもしれません。
特例子会社
特例子会社とは、親会社の障害者雇用率に算入できるよう設立された子会社で、障害者の雇用に特別な配慮を行っている企業です。大企業や学校法人などが設立しているケースが多く見られます。
業務内容は、親会社やグループ企業のバックオフィス業務が中心です。契約書管理や名刺印刷などの事務補助、清掃やビルメンテナンスなどのサービス業務を担うことが一般的です。
【メリット】特例子会社には、配慮に基づいた設備改善や専任指導員の配置がなされるなど、サポート体制が充実しています。労働時間も比較的柔軟で、困りごとがあれば社内外の支援機関に相談できる体制が整っています。
【デメリット】一般社員と比べて給与や昇進スピードが緩やかな場合があります。また、業務が単純作業に偏ることもあり、スキルアップを目指す方には物足りなさを感じる可能性もあります。さらに、特例子会社の数自体が限られているため、地域によっては選択肢が少ないことも課題です。
就労継続支援
就労継続支援は、障害者総合支援法(正式法令名:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に基づく福祉サービスのひとつで、一般就労が難しい方に働く機会を提供する仕組みです。A型とB型の2種類があります。
就労継続支援A型
A型は、事業所と雇用契約を結んで働くスタイルです。
【メリット】最低賃金が保障され、障害や病気に理解のあるスタッフからサポートを受けられます。一定の設備や環境が整っている点も安心材料です。
【デメリット】労働時間が短い場合が多く、生活に十分な収入を得るのが難しいケースもあります。また、事業所数が限られている地域もあります。
就労継続支援B型
B型は、雇用契約を結ばず、生産活動を通じて工賃を受け取る形です。
【メリット】事業所数が比較的多く、自分のペースで働きやすい特徴があります。一般就労やA型への移行を目指すステップとして活用されることもあります。
【デメリット】工賃は最低賃金を下回ることもあり、単純作業が中心となるため、高度なスキル習得には工夫が必要です。
フリーランス
フリーランスは、企業や組織に所属せず、個人で仕事を受注して働くスタイルです。近年は在宅ワークの広がりにより、選択肢として注目されています。
【メリット】通勤の負担がなく、上司や同僚との人間関係のストレスを最小限に抑えやすい点が大きなメリットです。働く時間や場所を自分で調整できるため、体調やライフスタイルを優先した働き方が実現しやすいでしょう。
【デメリット】収入を安定させるには専門スキルや実績が不可欠です。仕事の獲得から契約、請求まで自己管理が求められます。昇給や昇格といった制度はなく、対面コミュニケーションが減ることで孤独を感じる場合もあります。
障害を持つ方が自分に合った働き方を見つける方法

数ある選択肢の中から自分に合った働き方を選ぶには、客観的な自己理解と正確な情報収集が欠かせません。ここでは、特に重要な2つのポイントを解説します。
自身の障害特性を理解する
働き方を考える際には、自分の障害特性を理解しておくことが重要です。
どのような環境で力を発揮しやすいのか、どのような業務に負担を感じやすいのかを整理することで、就職後のミスマッチを防ぎやすくなります。得意分野が明確になれば、自信を持って応募できる職種も見えてくるでしょう。
また、配慮してほしい内容だけでなく、どのようなサポートがあれば業務を遂行できるのかまで具体的に伝えることが大切です。合理的配慮の内容を整理しておくことで、面接時の説明や入社後の調整もスムーズになります。
業務内容を正しくとらえる
求人票に書かれている情報は、あくまで概要にすぎません。
実際の職場環境や業務の流れ、求められるスピード感は、文章だけでは把握しきれないことが多いものです。可能であれば職場見学を行い、インターンや職場体験の機会を活用して、自分に合うかどうかを確かめましょう。
表面的な条件だけで判断せず、実際の働き方を具体的にイメージすることが、長く安定して働くための重要なポイントです。
障害を持つ方が働く際に利用できる支援サービス

障害のある方が就職活動を進める際は、一人で抱え込まず、専門機関のサポートを活用することが大切です。自分に合った相談先で支援を受けることで、求人選びから職場定着までをスムーズに進めやすくなります。ここでは代表的な支援サービスを紹介します。
ハローワーク
ハローワークには、障害のある方向けの専門窓口が設置されており、個別対応で就職相談を受けられます。
障害者求人の紹介はもちろん、応募書類の作成支援や面接対策、企業とのマッチング支援など幅広いサポートを行っています。障害者雇用枠の求人情報が集まりやすく、地域に根ざした情報を得られる点も強みです。
まずは身近な公的機関に相談したい方にとって、利用しやすい窓口といえるでしょう。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、就業面と生活面の両方を一体的に支援する機関です。
就職活動の準備支援や職務の選定に関する助言だけでなく、生活習慣の改善や金銭管理など、働き続けるための基盤づくりもサポートします。就職後も定着支援を受けられるため、長期的な視点で相談できるのが特徴です。
仕事と生活のバランスに不安がある方に適しています。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターでは、専門的な職業リハビリテーションを受けることができます。
専門スタッフが面談や評価を通して職業リハビリテーション計画を作成し、センター内での職業体験や職業準備訓練を実施します。自分の適性や課題を客観的に把握できるため、ミスマッチの防止につながります。
就職に向けて具体的な訓練を受けたい方に心強い支援機関です。
就労移行支援
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障害のある方を対象とした福祉サービスです。
ビジネスマナーやPCスキルの習得、模擬面接など、就職に必要な知識やスキル向上をサポートします。さらに、ハローワークや障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センターと連携しながら、本人に合った職場探しを支援します。
就職後も一定期間の定着支援が受けられるため、初めての就職やブランクがある方でも安心してステップを踏むことができます。
まとめ
障害のある方の働き方は多様であり、自身の障害特性や希望条件を踏まえて選ぶことが長期的な安定につながります。一般雇用、障害者雇用、特例子会社、就労支援、フリーランスなどの特徴を理解し、支援機関も積極的に活用することが大切です。正しい自己理解と情報収集を行い、自分に合った働き方を見つけていきましょう。
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著者プロフィール
めぐるファーム編集部
障害者の雇用が少しでも促進されるよう、企業担当者が抱いている悩みや課題が解決できるようなコンテンツを、社内労務チームの協力も得ながら提供しています。