50代で障害のある方が就職活動を行う際、「年齢と障害のダブルハードルで採用が難しい」と感じている方は少なくありません。
書類選考の段階で不採用が続いたり、障害者雇用の求人数の少なさに途方に暮れたりするケースも多いのが現実です。しかし、障害者雇用の現場では50代の方が活躍している実例も数多く存在します。
今回は、50代の障害者の就職が難しいとされる理由と、就活を成功させるためのポイント・活用できる支援サービスについて解説します。
50代の障害者雇用の実態と雇用率の現状

50代の障害者雇用をめぐる現状を正確に把握することは、就職活動を有利に進めるための第一歩です。まずは障害者雇用全体の推移と、50代ならではの特徴について解説します。
障害者雇用数と法定雇用率の推移
障害者雇用は年々拡大傾向にあり、就職のチャンスは着実に広がっています。
厚生労働省の調査(令和6年6月1日時点)によると、民間企業の雇用障害者数は70万4,610.0人と過去最高を更新しており、実雇用率も2.41%に上昇しました。
さらに令和6年4月には法定雇用率が2.3%から2.5%になり、令和8年7月以降は2.7%へ引き上げられる予定です。
こうした法定雇用率の引き上げを背景に、企業の障害者採用活動は今後もますます活発化していくことが見込まれます。
出典:
厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」
厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」
50代の障害者雇用の特徴と傾向
50代の障害者雇用には、他の年代にはない独自の特徴があります。
厚生労働省の調査(令和5年6月1日時点)によると、身体障害者の年齢構成では50代以上が全体の約6割を占めており、常用労働者と比較して高年齢層の割合が高い傾向があります。
また、精神障害者の年齢構成では、50~54歳の層が15.7%と、他の年齢層と比べて最も割合が高い結果が出ています。
障害者雇用枠では、スキルよりも「障害の特性を踏まえた上での適性判断」が重視される場面も多いため、経験豊富な50代にとっても十分な可能性を見出せる市場といえます。
出典:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」
50代の障害者が就職を難しいと感じる主な理由

50代の障害者が就職活動を難しいと感じる背景には、複数の要因が絡み合っています。それぞれの課題を正確に理解しておくことで、対策を立てやすくなるでしょう。
求人数の少なさと年齢面のハードル
障害者雇用枠自体の求人数は一般雇用と比較して限られており、短期間・軽作業などの限定的な職種が中心となる傾向があります。
年齢不問と記載されている求人でも、実質的に若年層を優先しているケースは少なくありません。また、定年までの勤続期間が短くなるため、企業が長期的な投資を躊躇する傾向があることも事実です。
こうした背景から、書類選考の段階で年齢のみを理由に不採用となるケースも見受けられます。
スキルより安定性が重視される採用基準のズレ
障害者雇用枠では、豊富なキャリアよりも「安定性・協調性・勤怠管理」が優先されることが多くあります。
企業が重視するのは「安定して通勤できるか」「長く働き続けられるか」「職場の環境に適応できるか」といった点です。そのため、これまで責任ある仕事を担ってきた方が「経験が正当に評価されない」と感じてしまうことがあります。
加えて、「年下の上司とも良好に働けるか」「環境の変化に柔軟に対応できるか」が採用の懸念点として挙がりやすい傾向もあります。
体力面・健康面への懸念
加齢に伴う体力低下や健康上のリスクを、企業が懸念するケースがあります。障害の悪化リスクや症状の変化への対応が難しいと判断されることもあります。
ただし、自身の障害特性や体調管理の方法について具体的に説明できると、企業側の懸念を払拭しやすくなります。日頃から体調管理の記録をつけておくなど、客観的な情報を提示できるよう事前に準備しておくことをお勧めします。
50代の障害者が就職活動をする際のポイント

50代の障害者が就職活動を成功させるためには、自身の強みと弱みを正確に把握したう上で、採用担当者の懸念を先回りして払拭することが重要です。具体的なポイントについて解説します。
これまでの経験・スキルを具体的に整理する
長年のキャリアで培った経験やスキルは、50代ならではの大きな強みです。
「20年以上の経理経験で数値管理の正確性に自信がある」など、数字や具体的な実績を交えてアピールすることで、採用担当者に対する説得力が増します。
障害者雇用枠でも、実務経験を企業のニーズに結びつけることで即戦力としての価値を示せます。
部署異動やシステム変更といった環境変化に対応した経験をエピソードとして準備しておくと、面接で役立つ場面が多くあるでしょう。
障害の特性と必要な配慮事項を言語化する
自分の障害特性・症状・必要な配慮を事前に明確にしておくことは、採用担当者との信頼関係を構築する上で非常に重要です。
「このようなサポートがあれば安定して働ける」と具体的に伝えることで、企業側に安心感を与えられます。
医師の診断書や支援機関からのアドバイスを活用しながら、配慮事項を客観的に整理しておくことをおすすめします。
謙虚さと柔軟な姿勢を示す
豊富な経験をお持ちであっても、「新しい環境で一から学ぶ意欲がある」という謙虚な姿勢を面接でしっかりとアピールすることが大切です。
「年下の上司にも積極的に学ぶ姿勢がある」と伝えれば、採用担当者の懸念を和らげられることがあります。
退職理由や過去に困難を乗り越えてきた経験を事前に棚卸しし、柔軟性の高さを具体的なエピソードとともに伝えましょう。
50代の障害者が就職活動をする上で活用できる支援サービス
50代の障害者が就職活動を進める際は、一人で抱え込まず、専門的な支援機関を積極的に活用することが成功への近道です。主な支援サービスをご紹介します。
ハローワーク(障害者専門窓口)
ハローワークは全国に設置されており、障害者専用の相談窓口で求人紹介・書類添削・面接練習を無料で受けることができます。
障害について専門的な知識をもつ職員・相談員による個別支援を活用すれば、自分の状況に応じたきめ細かなサポートが期待できます。
障害者雇用求人への応募サポートや面接への同行など、幅広い支援を受けられる点も強みです。
障害者専門の就職・転職エージェント
障害者専門の就職・転職エージェントは、非公開求人を含む障害者雇用専用の求人を多数保有しています。
履歴書・職務経歴書の作成サポートから面接対策まで、個別の状況に応じたきめ細かな支援を受けられます。
50代の就職・転職を支援した実績を持つエージェントも多く、年齢面に不安を感じている方にとっても心強い存在といえるでしょう。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、障害者が一般就労を目指すための訓練と就職活動サポートを行う福祉サービスです。
ビジネスマナーやPC操作・体調管理など、就労に向けた準備を段階的に整えられます。
原則として18歳以上65歳未満で、障害者手帳または医師の診断書などにより支援の必要性が認められた場合に利用できます。
障害者手帳を持っていない場合でも、医師の診断書や意見書と定期的な通院があれば、自治体の判断により利用できるケースもありますので、まずは自治体や事業所に相談してみましょう。
まとめ
50代で障害をお持ちの方が就職を難しいと感じる背景には、求人数の少なさや採用基準のズレ、体力面への懸念といった複数の課題があります。
しかし、法定雇用率の引き上げにより障害者雇用市場は拡大傾向にあり、50代の方でも活躍できるフィールドは着実に広がっています。
経験・スキルの整理、障害特性の言語化、謙虚な姿勢のアピールといったポイントを意識しながら、ハローワークや転職エージェント、就労移行支援事業所などの支援機関を積極的に活用して、就職活動を前向きに進めていきましょう。
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著者プロフィール
めぐるファーム編集部
障害者の雇用が少しでも促進されるよう、企業担当者が抱いている悩みや課題が解決できるようなコンテンツを、社内労務チームの協力も得ながら提供しています。