障害者が生活保護を利用できる条件は?申請手続きと注意点なども解説

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障害者も生活保護は受給できます。障害年金を受け取っていても申請は可能であり、条件さえ満たせば両制度の併用が認められています。今回は、障害者が生活保護を利用するための条件や加算制度、申請手続きの流れと注意点などについて詳しく解説します。

障害者が生活保護を利用できる条件

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障害者が生活保護を利用するための条件は、基本的に一般の方と同じですが、障害があることで考慮される特別な事情もあります。ここでは、主な条件をひとつずつ確認していきます。

世帯収入が「最低生活費」を下回っていること

給与や年金、各種手当など世帯全体の収入が、国の基準によって定められた「最低生活費」を下回っていることが、受給の大前提となります。

最低生活費は、居住地域・世帯構成・年齢などに応じて算定され、地域によって金額が異なります。

例えば、東京都区部に住む20~64歳の単身者の場合、生活扶助と住宅扶助を合わせて月13万円前後が目安となります(令和8年4月現在。特例加算を含む)。世帯の収入がこの金額に達しない場合、その不足分が生活保護として支給される仕組みです。

障害年金を受給している場合でも、年金額が最低生活費を下回っていれば、差額を生活保護で補うことができます。

「障害年金をもらっているから受けられない」というのは誤解であり、両制度は原則として併用が可能です。

参考:
厚生労働省「お住まいの地域の級地を確認
厚生労働省「生活扶助基準額について

資産(預貯金、不動産、車など)がないこと

生活に必要な最低限のものを除き、活用できる資産がないことが条件となります。ただし、資産の種類によって判断の基準が異なります。

預貯金については、最低生活費の半月分程度であれば保有が認められています。持ち家については、資産価値が著しく高くなければ住み続けながら受給できる場合がありますが、その場合は家賃相当分の住宅扶助は支給されません。

車は原則として処分を求められますが、障害がある場合には例外が認められることがあります。公共交通機関の利用が著しく困難な障害がある場合や、通院に車が不可欠な場合、交通アクセスの乏しい地域に居住している場合などが該当します。

ただし、保有を認めてもらうには、医師の意見書など「なぜ車が必要か」を客観的に示す書類を準備することが重要です。

働く能力を活用していること

働ける能力がある場合は、それを活用していることが求められます。

障害のある方の場合、「理論上なんらかの仕事ができるかどうか」ではなく、「障害の状態を踏まえて現実的に安定して働けるかどうか」という観点から判断されます。

精神障害で週に数日しか身体が動かない、身体障害で通勤自体が困難といった実態があれば、働く能力の活用に限界があると認められる事情として考慮されます。

主治医に診断書を作成してもらい、就労が現時点では困難である旨を記載してもらうと、申請がよりスムーズに進みやすくなります。

家族・親族からの援助が受けられないこと

親や子ども、兄弟姉妹といった親族から援助を受けられない状況にあることが条件となります。

申請時には原則として、親族に対し「援助できないか」を問い合わせる扶養照会が行われます。

ただし、DVや虐待の被害がある場合、10年程度音信不通の関係が続いている場合、関係が著しく悪化している場合、親族自身が経済的に困窮している場合などは、照会を行わないよう求めることができます。

申請時にこうした事情を担当者に伝えておくことが重要です。

利用できる他の制度を活用していること

障害年金や各種手当など、ほかに利用できる公的制度があれば、それを優先して活用することが求められます。これは「他法他施策優先の原則」と呼ばれる考え方に基づくものです。

まだ障害年金の申請をしていない場合は、先に申請するよう指導されることがあります。ただし、「他の制度の結果が出るまで生活保護の申請を待つ必要がある」ということではなく、両者の申請は並行して進めることが可能です。生活に困窮しているのであれば、障害年金の審査結果を待たずに生活保護を申請する権利があります。

障害者が受けられる生活保護の加算制度

車いすの女性の画像

障害者が生活保護を利用する際には、通常の生活扶助に上乗せされる加算制度があります。代表的なものが「障害者加算」ですが、世帯の状況によってはほかの加算も適用される場合があります。

障害者加算

障害者加算とは、障害があることで生じる日常的な追加出費を補うために支給される加算です。移動にかかる費用や、身の回りの介助に関する費用など、障害のない方には生じにくい支出を考慮したものです。

対象となる条件

障害年金の1級または2級を受給している場合に対象となります。障害年金3級の方はほとんどの場合、加算の対象外となる点に注意が必要です。

また、障害年金を受給していなくても、身体障害者手帳1・2級、または療育手帳(知的障害)など、一定の等級に該当する手帳を所持している場合にも適用されます。

なお、障害者手帳の等級と障害年金の等級は別々の基準で判定されるため、手帳の等級と年金の等級が必ずしも一致するとは限りません。自分がどちらの基準でどの等級に該当するかを事前に確認しておくことが大切です。

支給金額の目安(2025年度基準)

支給額は、居住地域(1~3級地)と障害の程度によって異なります。月額で1万5,750円~2万7,460円が生活扶助に上乗せされます。

障害等級1・2級または障害年金1級に該当する場合は、2万3,620円~2万7,460円が加算されます。

障害等級3級または障害年金2級に該当する場合は、1万5,750円~1万8,300円が加算されます。

出典:厚生労働省「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和8年4月)

その他の加算(状況に応じて適用されるもの)

障害者加算以外にも、世帯の状況に応じてさまざまな加算が最低生活費に上乗せされる場合があります。

母子加算・児童養育加算

18歳未満の子どもがいる世帯に対して適用される加算です。ひとり親世帯に対する母子加算と、子どもの養育にかかる費用を補う児童養育加算が設けられており、障害のある親が子どもを養育している場合にも対象となります。

冬季加算

北海道や東北など寒冷地に居住している場合、11月~3月の冬季期間に暖房費として支給される加算です。対象地域や支給額は居住地域によって異なります。

生活保護と障害年金の関係

年金手帳の画像

生活保護と障害年金は、同時に受給することが可能です。ただし、両方を受け取ったからといって単純に収入が増えるわけではなく、制度上のルールを理解しておく必要があります。

生活保護の仕組みでは、障害年金は「収入」として扱われます。国が定める最低生活費から障害年金の受給額を差し引いた不足分が、生活保護費として支給されるため、両者を併用しても手元に入る金額の総額は基本的に変わりません。

なお、障害年金の受給額が最低生活費を上回る場合には、生活保護は打ち切りとなります。

また、生活保護には「使える制度はまず使う」という他法他施策優先の原則があります。そのため、「総額が変わらないなら生活保護だけ受ければよい」という選択はできません。

障害年金をまず受給し、それでも生活費が不足する場合に生活保護で補うという順序が定められています。

生活保護の申請手続きと注意点

生活保護の申請手続きの流れと、受給後に押さえておきたい注意点について解説します。

生活保護の申請手続きの流れ

申請は、住民票のある市区町村の福祉事務所(市役所や区役所など)の窓口で行います。手続きは大きく4つのステップで進みます。

① 事前準備・相談

いきなり窓口を訪れるよりも、まず電話で「生活保護の申請を検討している」と伝えてから来所日を調整するのがスムーズです。

障害の特性に応じた配慮(静かな部屋での面談や、短時間での分割対応など)が必要な場合も、この段階で事前に申し出ておきましょう。

② 必要書類の準備

本人確認書類、収入や資産の状況がわかるもの(通帳のコピー・給与明細など)、賃貸借契約書などを準備します。

障害のある方は、障害者手帳・障害年金の証書・医師の診断書なども用意しておくと申請がよりスムーズに進みます。書類がすべて揃っていなくても申請自体は可能で、不足分は後日提出することができます。

③ 窓口での申請

福祉事務所の窓口で申請書に記入し、提出します。このとき「相談に来た」という言い方ではなく、「生活保護の申請をしたい」と明確に意思を伝えることが重要です。あいまいな伝え方だと相談のみで終わらされてしまうケースがあります。

④ 調査と決定

申請が受理されると、ケースワーカーによる家庭訪問、金融機関への資産調査、就労可能性の調査などが行われます。審査結果は原則として申請から14日以内、最長でも30日以内に通知されます。

出典:厚生労働省「『生活保護制度』に関するQ&A

受給決定後の注意点

受給が始まった後も、いくつかのルールを守る必要があります。見落としがちな点を確認しておきましょう。

収入状況の申告義務

給与・B型事業所などの工賃・年金など、あらゆる収入を毎月申告する義務があります。収入の有無にかかわらず申告が必要です。

申告を怠ると不正受給とみなされる可能性があるため、変化があった際はすみやかにケースワーカーへ報告してください。

障害年金の「遡及払い」による返還

生活保護の受給中に障害年金が認定され、過去にさかのぼって一括でまとまった金額が振り込まれることがあります。この場合、生活保護を受けていた期間と重複する分については、自治体へ返還しなければなりません。

入金後に使ってしまうと対応が難しくなるため、振り込みがあった際は必ず事前にケースワーカーへ相談してください。

医療機関にかかるときは「医療券」が必要

生活保護を受給すると医療費の自己負担がなくなりますが、受診できるのは指定医療機関に限られます。

また、受診の際は事前に福祉事務所で「医療券」を発行してもらう必要があります。

健康保険証のように常時携帯するものではないため、急病時にどう対応するかについては、あらかじめケースワーカーに確認しておくと安心です。

生活保護から就労へ移行するためのステップ

生活保護を受けながら就労を通じた自立を目指す場合は、環境を急に変えるのではなく、段階的に進めていくことが大切です。

以下のステップを参考に、自身の体調や状況に合わせて無理のないペースで取り組みましょう。

ステップ1:生活基盤の安定

まずは生活保護を活用しながら生活基盤を整え、通院や体調管理を優先することが出発点となります。就労を急ぐよりも、心身の状態を安定させることが重要です。

日中の活動の場として、「就労継続支援B型」などの事業所を利用し、生活リズムを整えることから始める方法もあります。規則的な生活を意識することが、次のステップへの土台づくりにつながります。

ステップ2:就労準備

体調が安定してきたら、「就労移行支援」や「就労継続支援A型」などの福祉サービスを活用し、働くための体力や実践的なスキルを少しずつ身につけていきます。

これらのサービスは生活保護と併用できるため、経済的な不安を軽減しながら取り組むことが可能です。

ステップ3:就労開始

準備が整ってきた段階で、短時間のパートタイム勤務やトライアル雇用などから就労を始めることが考えられます。フルタイム勤務を前提とする必要はなく、体調や特性に応じたペースで働き始めることが大切です。

また、生活保護受給中に収入を得た場合でも、収入がすべて差し引かれるわけではありません。「勤労控除」の仕組みにより、働いた分の一部は手元に残るよう配慮されています。

ステップ4:収入の安定化

就労に慣れてきたら、徐々に勤務時間を調整したり、雇用形態の変更を検討したりすることで、収入の安定を目指します。

職場や生活面で課題がある場合は、「就労定着支援」を利用することで、専門スタッフから継続的なサポートを受けられます。

ステップ5:生活保護からの卒業(該当する場合)

収入が安定し、国が定める最低生活費を継続的に上回るようになると、生活保護は停止または廃止となる場合があります。なお、体調の変化や失職などがあった場合には、状況に応じて再度申請することも可能です。

ただし、すべての方がこのステップまで進む必要があるわけではありません。障害や体調の状況によっては、生活保護を利用しながら自分らしい生活を続けることも、ひとつの自立の形といえます。焦らず、自分に合った目標を設定することが大切です。

まとめ

障害者が生活保護を利用するには、収入・資産・就労能力・親族からの援助などに関する条件を満たす必要があります。障害年金との併用も可能であり、障害者加算によってより手厚いサポートを受けられる場合もあります。自身の状況に合った制度を正しく理解し、必要なときには遠慮なく申請窓口へ相談してみましょう。

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