障害者に向いている仕事|働きやすい環境や利用できるサービスも解説

この記事をシェアする

  • x
  • facebook
話を聞いている画像

障害のある方が長く安定して働くためには、自身の特性に合った仕事と職場環境を選ぶことが重要です。しかし、「どんな仕事が向いているのか」、「どこに相談すればいいのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。今回は、障害のある方に向いている仕事や働きやすい環境、仕事探しで活用できるサービスについて解説します。

障害者の仕事の現状

電話対応をしている画像

厚生労働省の調査(令和5年6月1日時点)によると、現在雇用されている障害者の総数は約110万7,000人(推計値)です。

内訳(推計値)は身体障害者が約52万6,000人と最も多く、次いで知的障害者が約27万5,000人、精神障害者が約21万5,000人、発達障害者が約9万1,000人となっています。

出典:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書

障害種別ごとに、雇用されている産業の傾向も異なります。障害種別と雇用産業の割合は以下の表の通りです。

身体障害知的障害精神障害発達障害
製造業21.3%15.4%15.4%10.2%
卸売業・小売業21.2%32.9%25.8%40.5%
サービス業14.9%13.2%14.2%14.6%
医療・福祉11.0%12.2%13.8%6.4%
運輸業・郵便業8.4%8.1%7.0%9.5%
建設業6.5%1.3%5.0%5.4%
宿泊業・飲食業4.1%11.1%4.9%4.4%
情報通信業3.1%0.3%2.6%1.4%
金融業・保険業2.7%0.3%4.3%4.9%
教育・学習支援業2.3%0.6%1.4%0.8%

出典:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書

身体障害者は製造業と卸売業・小売業への就業が2割強と他の業種よりもやや多く、精神障害者・知的障害者・発達障害者は卸売業・小売業が突出して高い割合を占めています。

このように、障害の種別によって活躍しやすい産業には傾向があります。仕事を探す際には、自身の障害特性と業界ごとの特徴を照らし合わせることが、長く安定して働くための第一歩となるでしょう。

障害者に向いている仕事

PCで仕事をしている画像

ここでは、障害のある方に向いているとされる代表的な仕事を6つ紹介します。

事務職

事務職は、身体への負担が少なく、障害の特性に合わせて業務内容を調整しやすいため、障害のある方にとって選ばれやすい職種のひとつです。

座った状態でパソコンを使いながら自分のペースで進める作業が多く、過度なプレッシャーを感じにくい環境で働けるのが特徴です。

職場によっては在宅勤務や時短勤務といった柔軟な働き方にも対応しており、体調に合わせてペースを調整しやすい点も魅力といえます。

主な業務内容は、データ入力、書類の作成・管理、伝票処理、電話やメールでの問い合わせ対応、備品管理などです。

コールセンター

コールセンターは、座って対応できる仕事であることから、体を動かす業務が難しい方にも取り組みやすい職種です。

なかでもテクニカルサポートやヘルプデスクの業務は、対応マニュアルが細部まで整備されていることが多く、マニュアルに沿った対応が基本となるため、業務の流れが把握しやすい職種のひとつです。

在宅勤務や短時間勤務を導入している企業もあり、体調の波に合わせて勤務スタイルを選びやすい点も特徴のひとつです。

主な業務内容は、商品やサービスの案内、不具合への対応、新しいサービスの紹介などです。

軽作業

工場や倉庫での軽作業は、地域によっては求人数が多く、比較的仕事を見つけやすい職種です。

毎日決まった作業を繰り返すことが多く、変化への対応が難しい方にとっても取り組みやすいのが特徴です。業務の種類が幅広いため、慣れてきたら担当する作業の範囲を徐々に広げることもできます。

ただし、立ち仕事の割合もあるため、応募前に身体的な負担についても確認しておくと安心です。

主な業務内容は、商品の検品、梱包・包装、仕分け作業、簡単な組み立て、ラベル貼り、ピッキングなどです。

清掃業

清掃業は、作業手順があらかじめマニュアル化されており、決められた流れで進めることが多いため、ルーティン業務が得意な方に向いている職種です。

手順を覚えてしまえばひとりで黙々と取り組める仕事であるため、人との関わりが多い環境が苦手な方でも心理的な負担を抑えながら働くことができます。また、仕事を終えた後に周囲から感謝の声をもらいやすく、やりがいを実感しやすい点も魅力のひとつです。

主な業務内容は、オフィスビル・ホテル・病院・公共施設などの床の拭き掃除、トイレ清掃、窓ふき、ゴミ回収などです。

工場内作業

工場での製造作業やバックヤード業務は、複雑な判断が少なく、一度作業手順を覚えれば同じ動作を繰り返しやすい仕事です。

個人で進める作業が中心のため、自分のペースで取り組みたい方やコミュニケーションが苦手な方にも向いています。座ったままできる組み立て作業や食品の盛り付けなど、身体への負担を考慮しながら働ける業務もあります。

主な業務内容は、商品の組み立て、仕分け、検品作業、食品の盛り付けなどです。

農業

農業は、自然のなかでのびのびと働ける環境が整っており、心身のリフレッシュにもつながりやすい仕事です。

人との密なコミュニケーションが少ない場面が多く、緊張感の高い職場環境が苦手な方でも取り組みやすいのが特徴です。

ただし、天候や季節に合わせた働き方が求められるため、事前に業務内容や体力面の条件をしっかり確認しておくことが大切です。

主な業務内容は、水やり、種まき、肥料の管理、草抜き、作物の収穫、土づくりなどです。

障害者にとって働きやすい環境

作業着姿の画像

自分の特性に合った仕事を見つけることと同様に、障害への理解が得られる職場環境を選ぶことも、長く安定して働き続ける上で欠かせない要素です。

ここでは、障害のある方にとって働きやすいとされる代表的な環境や制度を紹介します。

障害者雇用(障害者枠採用)

障害者雇用とは、多くの場合、障害者手帳を持つ方を対象とした採用枠で就業する働き方です。

「障害者雇用促進法(正式法令名:障害者の雇用の促進等に関する法律)」に基づき、一定規模以上の企業には障害者の雇用が義務付けられているため、こうした枠での採用を積極的に進める企業には、サポート体制が整っています。

障害をオープンにした上で採用されるため、通院のための休暇取得や休憩時間の調整、業務内容の配慮など、個々の特性に応じた「合理的配慮」を受けやすいのが大きな特徴です。

企業によっては任される業務の範囲が限られることもありますが、長期にわたって安定して働き続けやすい環境といえます。

特例子会社

特例子会社とは、障害者の雇用促進と安定した就労を目的として設立された企業の子会社です。

一定の法律上の要件を満たし、厚生労働大臣の認定を受けることで設立が認められます。

在籍している社員の多くが何らかの障害を抱えているため、障害に対する職場内の理解が得られやすい環境が整っています。

バリアフリーをはじめとした設備面での整備に加え、勤務体制や体調管理に関する配慮が一般企業よりも充実しており、多くの場合、困ったときに相談できる専任の担当者が配置されています。

大企業のグループ会社であることも多く、安定した雇用環境のなかで長期就労を目指せる点も魅力のひとつです。

就労継続支援サービス

就労継続支援サービスは、一般企業での就労が現時点では難しい方に、働く機会とスキルを磨く場を提供する福祉サービスです。

仕事を通じて能力を高めながら、サポートを受けて働けるため、すぐに一般就労へ踏み出すことに不安がある方にも適しています。

サービスには「A型」と「B型」の2種類があり、A型は事業所と雇用契約を結んで最低賃金以上の給与が支払われるのに対し、B型は雇用契約を結ばずに作業し、その成果に応じた「工賃」を受け取る仕組みになっています。

就労継続支援A型とは?仕事内容、平均給料、利用の流れなどを詳しく解説

就労継続支援A型とは、障害や難病のある方が雇用契約を結び、最低賃金以上の給与を受け取りながら働ける福祉サービスです。一般就労に不安がある方でも、支援を受けつつ安定した就労経験を積める点が大きな特徴です。B型や就労移行支援との違いへの理解が、適切な選択につながります。今回は、仕事内容や平均給料、利用の流れまで詳しく解説します。就労継続支援A型とは就労継続支援A型とは、障害や難病のある方が事業所と雇用契約を結び、支援を受けながら安定して働ける障害福祉サービスです。一般就労が不安な方でも、サポート体制の整った環境で就労経験を積める点が特徴です。ここでは主な特徴を解説します。雇用契約A型事業所では利用者と事業所が正式に雇用契約(労働契約)を結びます。そのため労働基準法が適用され、労働時間や有給休暇などの権利が守られます。また、賃金は地域の最低賃金以上が支払われることが原則です。工賃ではなく「給与」として支払われる点が、雇用契約を結ばないB型との大きな違いです。利用期間利用期間に原則として上限はありません。体調や状況に応じて、長期的に働き続けることが可能です。ただし、雇用契約は有期契約(6か月~1年程度)が一般的で、雇用契約は一定期間ごとに更新が必要です。契約更新の際には、勤務状況や体調面などが確認されます。継続されれば、同じ事業所で安定して働き続けることができます。対象者原則18歳以上65歳未満の方です。ただし、児童相談所長の許可があれば、義務教育修了後の15歳以上でも利用できる場合があります。また、65歳に達する前の5年間に支給決定を受け、誕生日の前日まで利用していた場合は、65歳以降も継続利用が可能です。出典:厚生労働省「就労選択支援実施マニュアル」厚生労働省「就労系障害福祉サービスの概要」就労継続支援A型とB型、就労移行支援との違い障害福祉サービスのうち、就労移行支援は一般企業への就職を目指す訓練型サービスです。一方、就労継続支援A型・B型は、支援を受けながら実際に働く場を提供するサービスです。また、A型は雇用契約を結び、最低賃金が保証される「雇用型」で、B型は雇用契約を結ばず、体調や状況に合わせて働く「福祉的就労」です。それぞれの違いを以下に整理します。項目A型B型就労移行支援目的雇用契約のもとで働く機会を提供生産活動などの就労機会を提供一般就労に向けた訓練対象者一…

https://me-gu-ru.net/media/column/578/

詳細を見る

在宅勤務

在宅勤務とは、オフィスに出社せず、インターネットを利用して自宅などで仕事をする働き方です。

通勤による身体的・体力的な負担がなく、公共交通機関での移動が困難な方や補装具を使用している方にとっても、無理なく就労を続けやすい環境です。対人関係に不安がある方にとっても心理的ストレスが少なく、自分の体調やペースに合わせて仕事を進められるのは大きなメリットといえます。

在宅勤務で行える業務としては、データ入力、ライティング、プログラミング、デザインなどがあげられます。

障害者の仕事探しで利用できるサービス

障害のある方が仕事を探す際には、一般の就職活動とは異なるルートやサポートを活用することが、自分に合った職場を見つける近道になります。

ここでは、代表的な4つのサービスを紹介します。

ハローワーク

ハローワークは、厚生労働省が運営する総合的雇用サービス機関です。全国各地の窓口やWebサイトから求人を検索できるため、最初に相談する場所として多くの方に活用されています。

障害のある方向けに「専門援助部門」と呼ばれる専門窓口が設けられており、障害に関する専門知識を持つ職員や相談員から、自己分析・適性の確認、応募書類作成のアドバイス、面接対策といった手厚いサポートを受けられます。

障害者枠の求人だけでなく一般枠の求人も紹介してもらえるため、障害を公表せずに就職(クローズ就労)したい場合にも対応しています。また、必要に応じて面接への同行を依頼できる点も、初めて就職活動をする方にとって心強いサポートといえます。

就労移行支援

就労移行支援は、一般企業への就職を目指す方(原則65歳未満)を対象に、就職準備から活動・入社後の定着まで一貫してサポートするサービスです。

ビジネスマナーや応募書類の書き方といった基礎的なスキルから、WordやExcelの操作、さらにはデザインやプログラミングといった専門的な技術の習得まで、希望する職種に合わせた実践的な訓練(プログラム)を受けられます。

就職後も一定期間にわたるフォローが受けられるため、就職してからの定着支援まで一貫してサポートしてもらえる点が特徴です。

就労移行支援とは?支援内容やメリット、事業所の探し方も解説

就労移行支援とは、障害や難病のある方が一般企業への就職を目指す際に受けられる福祉サービスです。支援内容は、就職活動のサポートをはじめ、職業訓練や職場定着に向けたフォローなど多岐にわたります。今回は、就労移行支援の支援内容や利用するメリット、自分に合った事業所の探し方を解説します。就労移行支援とは?就労移行支援は、障害者総合支援法(正式法令名:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に基づいて提供される障害福祉サービスのひとつです。障害や難病のある方が一般企業への就職を目指す際に、必要なサポートや訓練を受けながら、働く準備を進められます。サービスを受けられる場所が「就労移行支援事業所」就労移行支援のサービスは、「就労移行支援事業所」という専門施設で受けられます。就労移行支援事業所は、学校のように定期的に通いながら就職に向けたサポートを受けられる施設です。職業訓練だけでなく、生活リズムの安定や集中力の向上、適性や課題の把握といった支援も行われています。就労移行支援の支援内容一般的に、就労移行支援では以下の4つのステップで支援が行われます。職業相談・個別支援計画まずは就労移行支援事業所のスタッフと面談し、自分の特性や体調、得意なことや希望の進路などを伝えます。「働けるかどうか不安」といった相談から、「早く就職したい」といった要望まで、さまざまな悩みに応じてもらえるのが特徴です。また、面談でのやり取りをもとに、個別の支援計画も作成してもらえます。職業訓練就労移行支援事業所では、利用者の希望や特性に合わせて、さまざまな職業訓練プログラムが用意されています。ビジネスマナーやPCスキルはもちろん、プログラミングやデザインソフトなど、実践的な内容を学べるのが特徴です。また、実際の職場を見学したり、短期間の実習に参加できたりするプログラムもあり、職場環境や仕事の流れも体験できます。そのほか、安定して就労移行支援事業所に通えるよう、体調管理のサポートも受けられます。生活リズムを整え、毎日通う習慣を身に付けておくことで、就職後にも役立ちます。職場探し・就職活動のサポート職場探しや就職活動のサポートでは、自己分析、履歴書・職務経歴書の添削、模擬面接のほか、職場実習や企業インターンなど実際の職場を体験する機会も提供されています。また、就労移行支援事業所はハローワークや障害者…

https://me-gu-ru.net/media/column/417/

詳細を見る

就職・転職エージェント

就職・転職エージェントは、求職者と企業の間に立ち、専任のキャリアアドバイザーが面談を通じて本人の障害特性や希望条件をヒアリングした上で、マッチする求人を紹介してくれる民間のサービスです。

自分ひとりでは就職活動が思うように進まない方にも適しており、履歴書の添削や面接対策に加え、内定後の入社日や給与条件の交渉まで幅広くサポートを受けられる場合があります。

求職者・企業双方の希望をアドバイザーが客観的に把握した上でマッチングが行われるため、入社後のミスマッチが起きにくく、自分に合った職場を見つけやすいというメリットがあります。

まとめ

障害のある方が長く安定して働くためには、自身の特性に合った職種を選ぶことはもちろん、障害への理解が得られる職場環境を整えることも欠かせません。ハローワークや就労支援サービス、就職・転職エージェントなど、活用できるサポートも充実しています。

自分に合った仕事や環境を見つけるために、まずは気軽に支援サービスへ相談してみましょう。

Profile

著者プロフィール

めぐるファーム編集部

障害者の雇用が少しでも促進されるよう、企業担当者が抱いている悩みや課題が解決できるようなコンテンツを、社内労務チームの協力も得ながら提供しています。

まずはお気軽にご相談ください。

提案書・見学・導入のご質問まで、専任スタッフが丁寧にご対応します。

「障害者雇用めぐるメディア」 は、株式会社NEXT ONEが運営する障害者雇用支援事業のメディアサイトです。
働くことは、誰かの役に立つこと。そして、自分自身を誇りに思うこと。
私たちは、障害のある方が自分らしく働ける環境を広げ、
雇用を支える企業や支援者とともに、持続可能な社会の実現を目指します。
このメディアでは、支援の現場、当事者の声、そして雇用のヒントを発信し、
すべての「はたらく」にあたたかいつながりを届けていきます。

Support work. Grow together.