施設外就労とは?事業所が知るべき要件・メリット・運営のポイントを解説

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就労継続支援事業所の運営において、「利用者の一般就労への移行促進」「工賃向上」「定員の有効活用」は重要な経営課題です。これらの課題解決に有効な手段のひとつが「施設外就労」です。

今回は、施設外就労の概要・算定要件・メリット・必要書類・運営上の注意点について、事業所運営者向けに詳しく解説します。

施設外就労とは?

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施設外就労とは、就労継続支援事業所(A型・B型)が、企業から業務を請け負い、利用者と職員がユニットを組んで企業内でその業務を行う支援形態です。

利用者は一般企業の実際の職場環境で作業経験を積むことができ、一般就労への移行促進や工賃向上につながります。

施設外就労と施設外支援との違い

「施設外就労」と名前が似ている支援に「施設外支援」がありますが、この2つは全く異なる制度です。主な違いを5つの観点から確認しましょう。

1. 支援の内容と目的

施設外就労は企業と業務請負契約を結び、請け負った作業を企業内で行います。

施設外支援は企業での実習・就職活動・在宅訓練など、就労に向けた事業所外での活動に対する支援(請負作業ではない)です。

2. 職員の配置(同行)

施設外就労では、作業の指導などは事業所が行うため、利用者の人数に応じて事業所の職員(生活支援員や職業指導員など)の配置・同行が必要です。

施設外支援では、企業が主体で行う実習などのため、職員の配置は原則として不要です。

3. 受け入れ可能な利用者数

施設外就労では、指定時の利用定員とは別に、利用定員と同じ人数まで追加で利用者を出すことができます(例:定員20名の場合、施設外20名+施設内20名=最大40名)。

施設外支援は、指定時の利用定員内の人数で行う必要があります。この受け入れ人数の違いが、事業所の経営に大きく影響します。

4. サービス提供日数の上限

施設外就労は1年間の利用日数に制限はありません。

施設外支援は、利用者1人につき原則年間180日以内という上限が定められています。

5. 契約と対価(工賃・賃金)

施設外就労では企業との「業務請負契約」が必須で、完成した作業に応じて報酬が支払われるため、利用者に工賃(賃金)が発生します。

施設外支援では請負契約は不要で、実習の受入先企業から労働の対価として金銭を受け取ることはできません。この対価の発生の有無が、制度の本質的な違いのひとつです。

施設外就労の算定要件

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施設外就労を実施し、適切に報酬を算定するためには、主に5つの分野で細かな要件を満たす必要があります。

利用者数

1日に施設外就労へ行く利用者の数は、事業所の利用定員を超えてはなりません。一方で、施設外就労に出る人数と同数まで、事業所内で新たに利用者を受け入れることが可能です。

例えば定員20名の事業所であれば、施設外就労20名+施設内20名で最大40名の対応が可能になります。この仕組みを活用することで、事業所の収益基盤の強化につながります。

職員数

施設外就労先には必ず事業所の職員が同行し、その日の施設外就労に参加する利用者数に応じた人員配置基準(常勤換算で7.5:1や10:1など)を満たす職員を配置する必要があります。

施設外就労に行く利用者を除いた「事業所に残る利用者」に対しても、基準を満たす人数の職員を配置しなければなりません。

管理者やサービス管理責任者は事業所に残る必要があります。

作業の請負契約

施設外就労先の企業と「業務請負契約」を結ぶ必要があります。なお、同一法人内の別事業所とは契約できません。契約書には「作業の完成についての財政上・法律上のすべての責任は事業所が負うこと」を明記する必要があります。

企業からの報酬は時給制などではなく、「完成された作業の内容に応じた金額」でなければなりません。企業の機械や設備を借りる場合は賃貸借契約などを別途結ぶ必要があります。契約内容の適正な整備が、後のトラブル防止につながります。

運営方針

請け負った作業の指導は、施設外就労先企業の従業員からではなく、必ず同行した事業所の職員が直接行わなければなりません。利用者と施設外就労先企業の従業員が共同で作業を行うことは禁止されています。

また、施設外就労の内容が、利用者の就労能力や工賃の向上、一般就労への移行に貢献すると認められるものであることも求められます。

そのほか、緊急時の対応体制を事前に整えておくことも必須の要件です。

書類および記録

施設外就労を行うには、運営規程・個別支援計画・業務請負契約書・実績報告書などが必要です。これらの書類は実地指導(運営指導)の際にも厳しくチェックされるため、確実に作成・保存しておくことが重要です。

書類の不備は報酬の返還請求につながる可能性もあります。書類管理の体制を事前に整備し、スタッフ全員が対応できるようにしておきましょう。

施設外就労のメリット

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施設外就労のメリットについて、事業所側と利用者側に分けてまとめます。

事業所側のメリット

事業所側のメリットは、主に以下の2点です。

受け入れ人数(定員)の拡大

施設外就労では事業所の利用定員とは別に、定員と同数まで追加で利用者を受け入れてサービスを提供することができます。

例えば定員20名の事業所であれば最大40名まで受け入れが可能になり、経営の安定につながります。

地域社会との連携と社会的信用の獲得

周辺企業と業務請負契約を結び連携することで、地域社会とのつながりを築くことができます。障害者雇用への理解を深めてもらう意義もあり、事業所としてのブランド力や社会的信用が向上します。

結果として新たな利用者の獲得にもつながりやすくなります。地域の企業との良好な関係構築が、事業所の長期的な発展を支えます。

利用者側のメリット

利用者側にも、施設外就労ならではの大きなメリットがあります。

より実践的な経験と一般就労への移行促進

事業所内での作業とは異なり、一般企業の実際の職場で働くため、より実践的な環境で経験を積むことができ、一般就労への移行に向けた大きなステップになります。

工賃・賃金の向上

企業から請け負った作業の対価として報酬が発生するため、通常の事業所内での作業よりも単価が高くなることが多く、工賃や賃金の向上が見込めます。経済的な自立に向けた意欲の向上にもつながります。

コミュニケーションスキルの向上

一般企業の職場環境に身を置くことで、ビジネスマナーや対人スキルなど、社会で求められるコミュニケーション能力を身に付けることができます。

自身の適性の把握

事業所内だけでは経験できないさまざまな業務や環境に触れることで、自分自身の興味や仕事への適性を新たに発見・把握するきっかけになります。就職活動における自己PRの材料にもなります。

施設外就労の実施手順

事業所が施設外就労を開始する際の基本的な流れは以下の通りです。

1. 運営規程(および変更届)

事業所の運営規程に、提供するサービスとして「施設外就労」を含めることや、施設外就労の規則を明記する必要があります。

運営規程を変更した場合は、指定権者(自治体等の窓口)へ変更届を提出しなければなりません。

2. 個別支援計画

施設外就労を実施する前に、利用者の個別支援計画に施設外就労の内容や目標等を位置づけておく必要があります。

利用者の適性や、就労能力・工賃の向上、一般就労への移行にどう貢献するかという目標を事前に話し合った上で作成します。

3. 業務請負契約書

施設外就労先の企業等と結ぶ契約書です。「作業の完成についての財政上・法律上のすべての責任は事業所側が負うこと」と、「報酬は完成された作業の内容に応じて算定されること(時給制などは不可)」を明記する必要があります。

4. 実績報告書

毎月の実績報告書を作成・保存する必要があります。令和6年度の報酬改定により毎月の行政への「提出」は不要になりましたが、「作成・保存」の義務は残っています。

5. 訓練目標に対する達成度の評価記録

個別支援計画で定めた目標に対し、施設外就労を通じてどの程度達成できたかを定期的に評価し、記録を残す必要があります。必要に応じて目標や支援計画を見直すことで、利用者の着実な成長を支えられます。

その他の契約書類(該当する場合のみ)

施設外就労先の企業から作業に必要な機械や設備等を借りる場合は賃貸借契約書・使用貸借契約書が必要です。企業から作業に必要な材料等の供給を受ける場合は、代金の支払い等の必要事項を明確に定めた書類が必要です。

書類の不備が後からトラブルに発展しないよう、事前に専門家や行政窓口に相談しながら整備を進めることをおすすめします。万全な書類体制が、安心して施設外就労を継続するための基盤となります。

まとめ

施設外就労は、就労継続支援事業所が企業から業務を請け負い、利用者と職員がユニットを組んで企業内で作業を行う支援形態です。事業所にとっては、定員の拡大や地域との連携強化といったメリットがあります。

施設外就労を適切に実施するためには、算定要件を正しく理解し、必要な書類を確実に整備し、実地指導に備えた運営体制を構築することが重要です。

就労継続支援事業所の経営安定化と利用者支援の質向上のために、施設外就労の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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