障害者雇用の対象企業に毎年求められる「ロクイチ報告」は、法定雇用率の達成状況や高年齢者雇用の取り組みを報告する重要な制度です。しかし、記載項目や障害者のカウント方法が複雑で、「どの情報をどう記入すればいいのかわからない」と悩む担当者も少なくありません。提出期限を過ぎたり、誤った内容で提出したりすると指導対象となる可能性もあるため注意が必要です。今回は、ロクイチ報告の概要や記載内容、作成時の注意点、提出手順について解説します。
ロクイチ報告とは

ロクイチ報告とは、毎年6月1日現在の高年齢者や障害者の雇用状況等を管轄の公共職業安定所(一部地域では労働局)を経由して厚生労働大臣に報告することで、これは法律で義務付けられています。
具体的には「高年齢者雇用状況等報告」と「障害者雇用状況報告」の2種類があり、これらをあわせて「高年齢者・障害者雇用状況等報告」と呼びます。「ロクイチ」という名称は、毎年6月1日時点の状況を基準日として報告することに由来しています。
ロクイチ報告の対象企業
障害者におけるロクイチ報告の対象は、法定雇用率が適用されるすべての民間企業です。
1人でも障害者を雇用する義務がある事業主であれば、実際の雇用障害者数が0人の場合でも報告義務は免除されません。
高年齢者におけるロクイチ報告は、従業員20人以上規模の事業主が対象となっています。
なお、法定雇用率は段階的に引き上げられており、対象企業の範囲も変化しています。
最新の法定雇用率について詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
「障害者の雇用率が2.7%へ引き上げ!計算方法から必要な準備まで徹底解説」
ロクイチ報告で記載する内容

高年齢者雇用状況等報告書と障害者雇用状況報告書では、それぞれ記載項目が異なります。各報告書で求められる内容を確認しておきましょう。
高年齢者雇用状況等報告書
高年齢者雇用状況等報告書には、以下の項目を記載します。
- 事業主情報
- 定年制の状況
- 継続雇用制度の状況
- 創業支援等措置の状況
- 65歳を超えて働ける制度等の状況
- 常用労働者数 ・過去1年間の離職者の状況
- 過去1年間の定年到達者等の状況
- 高年齢者雇用等推進者および記入担当者
報告書を作成する際は、実態や慣行ではなく、就業規則や社内制度に基づいた内容を記載することが求められます。
また、報告書で使われる「従業員」と「常用労働者」は定義が異なる点に注意が必要です。
従業員とは雇用制度の適用を受ける者を指し、昼間学生など雇用保険の被保険者でない者も含まれます。一方、常用労働者は1年以上継続して雇用される者(見込みを含む)のうち、1週間の所定労働時間が20時間以上の者を指し、雇用保険の被保険者でない者は含まれません。
定年制や継続雇用制度など、高年齢者雇用に関する取り組みの内容によって記載方法が大きく変わるため、厚生労働省の記入要領を確認しながら記入を進めることをおすすめします。
障害者雇用状況報告書
障害者雇用状況報告書には、以下の項目を記載します。
- 事業主情報
- 雇用の状況(常用雇用労働者の数・除外率・実雇用率など)
- 障害者雇用推進者および記入担当者
報告書の作成にあたっては、障害者手帳の有無や記載内容を確認し、適切な区分に分類することが求められます。
例えば、身体障害者手帳の等級が2級なら「重度身体障害者」に該当します。一方、4級の場合は重度身体障害者には該当しないため、雇用率上のカウント数も異なります。
障害の種別・等級によってカウント数が異なるため、手帳の内容を正確に把握した上で記載することが重要です。
ロクイチ報告を書く際の注意点
ロクイチ報告では、毎年6月1日時点での従業員の雇用状況をもとに報告をおこないます。そのため、報告書の作成には6月1日時点の最新情報を正確に管理することが重要です。
毎年報告しているからといって、事業年度開始日である4月1日時点の情報を流用すると、誤った内容で提出してしまう可能性があります。
電子申請に使用する書類も、6月1日以降に更新された最新のものをダウンロードして入力する必要がある点に注意してください。
以下では、報告書ごとの注意点を解説します。
高年齢者雇用状況報告書の場合
高年齢者雇用状況報告書には、高年齢者の雇用に関する規則を細かく記入する必要があります。実態や慣行ではなく、必ず就業規則を確認しながら記入することが前提です。
定年年齢を65歳未満に定めている企業は、「65歳までの定年引上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年制度の廃止」のいずれかの措置を実施する義務があります。
就業規則にこれらの措置が明記されていない場合は、早急に規則を改定した上で、その内容についても報告書に記載する必要があります。
雇用の状況を記入する際は、内訳として女性の人数を記入しなければなりません。また、定年到達者数を記載する際は、就業規則で定める制度の上限年齢によって記入欄が異なるため、記入例をよく確認した上で慎重に記入しましょう。
障害者雇用状況報告書の場合
障害者雇用状況報告書で特に注意すべき点は、障害者のカウント方法です。
常用雇用労働者数に含まれるのは、1週間の所定労働時間が20時間以上かつ1年以上雇用される見込みのある労働者です。このうち週所定労働時間が20時間以上30時間未満の短時間労働者は、1人につき0.5人としてカウントします。
雇用障害者数のカウントは、障害の種別・程度・週所定労働時間によって異なります。
| 週所定労働時間 | 30時間以上 | 20時間以上30時間未満 | 10時間以上20時間未満 |
|---|---|---|---|
| 身体障害者 | 1 | 0.5 | – |
| 重度身体障害者 | 2 | 1 | 0.5 |
| 知的障害者 | 1 | 0.5 | – |
| 重度知的障害者 | 2 | 1 | 0.5 |
| 精神障害者 | 1 | 1(※) | 0.5 |
※当分の間の措置として、精神障害者である短時間労働者は、雇入れの日からの期間にかかわらず、1人をもって1人とみなす
また、報告書の作成にあたっては障害の種別や程度を把握する必要がありますが、これらの個人情報の取り扱いには十分な注意が必要です。情報を管理する担当者は必要最小限にとどめ、守秘義務を含む個人情報保護法に関する社内規定を整備しておくことが求められます。
出典:厚生労働省「障害者雇用率制度について」
ロクイチ報告の提出手順

毎年5月下旬から6月初旬頃、管轄の公共職業安定所(ハローワーク)から対象企業へ報告書が郵送されます。届いた報告書に6月1日時点の雇用状況をもとに必要事項を記入し、毎年7月15日までにハローワークへ提出します。提出手段と電子申請の流れについて以下で解説します。
ロクイチ報告の提出手段
提出手段は「窓口への持参」「郵送」「電子申請」の3つから選択できます。
紙で提出する場合、報告書は3枚複写になっています。「正」と「副」の2枚を提出し、「事業主控」は後日確認できるよう紛失しないよう保管してください。電子申請で提出した場合は、送信したファイルを印刷するなどして事業主控として保管することが大切です。
電子申請はe-Govを利用して行います。手順は以下の通りです。
- e-GovホームページからWord・Excelファイルをダウンロードする。
- 報告書に必要事項を入力する。
- e-Govホームページで基本情報と提出先ハローワークを選択する。
- 添付書類として報告書ファイルを添付し、提出する。
電子申請にはe-GovアカウントまたはGビズIDが必要です。
GビズIDは1つのIDで複数の行政サービスを利用できる共通認証システムで、電子署名が不要になるため便利です。ただし、登録申請から承認まで数週間かかる場合があるため、余裕をもって準備しておきましょう。
まとめ
ロクイチ報告は、高年齢者・障害者の雇用状況を毎年6月1日時点でまとめ、7月15日までにハローワークへ提出する法定の義務です。障害者雇用状況報告書については未提出や虚偽報告に罰則が設けられているため、記載内容や提出期限を正確に守ることが重要です。
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めぐるファームは、株式会社NEXT ONEが運営する農園型障害者雇用支援サービスです。障害者との雇用契約は企業が直接締結し、NEXT ONEが管理・運営する施設内で農業などの作業を行います。
日々の業務管理や個別サポートはNEXT ONEが担当するため、企業側の負担を大幅に軽減できます。雇用した障害者は法定雇用率のカウント対象となります。
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著者プロフィール
めぐるファーム編集部
障害者の雇用が少しでも促進されるよう、企業担当者が抱いている悩みや課題が解決できるようなコンテンツを、社内労務チームの協力も得ながら提供しています。