編集日:2026.07.07
公開日:2026.06.25
民間企業の障害者の雇用率が2.7%へ引き上げ!計算方法から必要な準備まで徹底解説
障害者の法定雇用率は、2026年7月から2.7%へ引き上げられます。対象企業は必要雇用人数の再計算に加え、未達成時のリスクや受け入れ体制の整備まで早めに確認することが重要です。今回は、障害者雇用率2.7%への引き上げに伴う計算方法や企業が準備すべき対応について解説します。
法定雇用率が2.7%へ引き上げ!2026年7月から変わること

2026年7月より、民間企業に適用される障害者の法定雇用率が2.5%から2.7%へ引き上げられます。企業規模や業種を問わず一律に適用される変更であり、すでに雇用率を達成している企業も、改めて必要人数の見直しが求められます。
引き上げにともない、常用雇用労働者数37.5人につき1人の障害者を雇用する義務が生じます。これまで対象外だった規模の企業も新たに制度の適用を受けるケースがあるため、自社の雇用状況を早期に確認することが重要です。
法定雇用率の計算方法とルール

法定雇用率を正しく運用するには、計算式の理解だけでなく、従業員の労働時間や障害の程度によって異なるカウントルールを把握することが不可欠です。ここでは計算方法・適用ルール・必要人数のシミュレーションを順に解説します。
法定雇用率の計算方法
法定雇用率における実雇用率は、分子を「対象障害者の合計カウント数」、分母を「常用雇用労働者数」として、次の式で算出します。
実雇用率(%)= 対象障害者の合計カウント ÷ 常用雇用労働者数 × 100
算出した実雇用率が法定雇用率(2026年7月以降は2.7%)以上であれば義務を達成していることになります。
計算時のルール
計算にあたっては、事業所単位ではなく法人全体の従業員数を用います。また、常用雇用労働者数の判断基準は「所定労働時間」であり、残業時間は含みません。実雇用率は小数点第三位を四捨五入して算出します。
従業員のカウント数は一律に1人ではなく、週の所定労働時間と障害の程度によって次のように区分されます。
| 週所定労働時間 | 30時間以上 | 20時間以上30時間未満 | 10時間以上20時間未満 |
|---|---|---|---|
| 身体障害者 | 1 | 0.5 | – |
| 重度身体障害者 | 2 | 1 | 0.5 |
| 知的障害者 | 1 | 0.5 | – |
| 重度知的障害者 | 2 | 1 | 0.5 |
| 精神障害者 | 1 | 1 | 0.5 |
なお、精神障害者については週20時間以上30時間未満の勤務でも1人としてカウントされる特例があります。
重度障害者は「週30時間以上で2人分」「週20時間以上30時間未満で1人分」のダブルカウントとなる点も見落とさないようにしましょう。
出典:厚生労働省「障害者雇用率制度について」
必要人数のシミュレーション
2026年7月以降の法定雇用率2.7%を前提に、従業員規模別の必要人数を確認します。
従業員100人の場合(目安:2人)
100 × 2.7% = 2.7 → 小数点以下切り捨てで2人が必要です。
雇用パターンの例としては、フルタイム(週30時間以上)2名のみで達成する方法、フルタイム1名と短時間(週20~30時間未満)2名(0.5×2)を組み合わせる方法、フルタイム1名と精神障害者の短時間1名(特例で1人カウント)を組み合わせる方法があります。
従業員500人の場合(目安:13人)
500 × 2.7% = 13.5 → 小数点以下切り捨てで13人が必要です。
フルタイム13名のみで達成する方法のほか、フルタイム10名と短時間6名(0.5×6)を組み合わせる方法、フルタイム10名・精神障害者の短時間1名(特例で1人カウント)・短時間4名(0.5×4)を組み合わせる方法などが選択肢になります。
法定雇用率が未達成の場合はどうなる?
法定雇用率を達成できていない場合、企業は複数のリスクを負うことになります。納付金の発生から行政指導、企業名の公表まで、段階的に措置が講じられる仕組みを理解しておくことが重要です。
障害者雇用納付金の納入義務の発生
障害者雇用納付金制度は、法定雇用率を達成できていない企業に経済的負担を課すことで、障害者雇用の促進と企業間の負担公平化を図る制度です。
常用労働者が100人を超える企業が対象となり、不足人数1人につき月額5万円(年間60万円)の納付金が発生します。
注意すべき点は、納付金を支払ったとしても法定雇用率を達成する義務がなくなるわけではないことです。雇用率を満たすまで継続的に支払い続けなければならず、年度をまたぐほど累積負担は大きくなります。
なお納付金は、障害者雇用に積極的な企業への調整金・報奨金として活用される仕組みになっています。
ハローワークによる行政指導のリスク
法定雇用率を達成していない企業には、ハローワークから「障害者の雇入れに関する計画」の作成指導が行われます。
計画作成命令の対象となる主な基準は、実雇用率が全国平均を下回りかつ不足数が5人以上の場合、不足数が10人以上の場合、法定雇用障害者数が3~4人の企業で障害者を1人も雇用していない場合です。
命令を受けた企業は計画書を作成し、毎年6月1日現在の実施状況を報告する義務を負います。この報告はロクイチ報告とも呼ばれています。
ロクイチ報告について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
「障害者雇用の「ロクイチ報告」とは?記載内容や注意点を解説」
企業名の公表
行政指導を受けてもなお改善が見られない場合、厚生労働省のホームページ上で企業名が公表されます。
企業名や行政指導の経緯、障害者雇用の状況などが広く公開されるため、社会的信用の低下や採用活動・取引関係への悪影響が避けられません。
インターネット上に情報が残り続ける性質上、短期的な問題にとどまらず長期にわたる影響が生じる点も見逃せません。
公表後も改善が認められない場合は再公表のリスクもあるため、早期の対応が不可欠です。
法定雇用率引き上げに伴い企業が準備すべき対応

2026年7月の法定雇用率2.7%への引き上げに対応するには、採用活動だけでなく、受け入れ体制や業務設計まで一体的に整備することが求められます。企業が今から取り組むべき具体的な準備について解説します。
自社の雇用状況を正確に把握する
法定雇用率引き上げへの対応を進める出発点は、自社の現状を正確に把握することです。
現在、従業員数が一定規模以上の企業には障害者雇用義務が課されており、まず自社が義務の対象かどうかを確認した上、現在の障害者雇用状況や未充足人数を明確にしておく必要があります。
対象企業には毎年行政機関への報告義務もあるため、このプロセスを通じて自社の課題や改善点を具体的に洗い出しておくことが、次のアクションにつながります。
業務の洗い出しをする
障害のある方の雇用を成功させるには、社内に存在する業務を詳細に分析し、担当可能な仕事を切り出す作業が欠かせません。
各部署の業務フローを見直し、データ入力・書類のファイリング・郵便物の仕分け・備品管理といった定型的な業務や、特定のスキルを要する専門的な補助業務などを洗い出します。
既存の従業員へのヒアリングを通じて、コア業務に集中するために手放せる周辺業務や細分化できるタスクを発見することも有効です。
業務を再設計することで障害のある方の特性や能力を活かせるポジションが生まれ、組織全体の生産性向上にもつながります。
社内の受け入れ体制を整える
障害のある社員が能力を最大限に発揮し、長期的に就労を続けるためには、安心して働ける環境の整備が不可欠です。
スロープの設置や通路の確保といった物理的なバリアフリー化に加え、障害特性に応じたPCソフトの導入や作業補助具の用意なども検討します。
施設・設備の整備にあたっては、障害者作業施設設置等助成金など各種助成金を活用することで、企業の経済的負担を抑えることができます。
心理的な環境づくりも同様に重要です。管理職や同僚が障害について正しく理解するための社内研修の実施や、定期的な面談を通じた相談体制の構築など、全社的にインクルーシブな職場風土を醸成することが定着率の向上に直結します。
支援機関を活用する
自社だけで採用活動を進めるのではなく、外部の専門機関と連携することが採用成功の鍵です。
各地域のハローワークには障害者雇用を専門に扱う窓口が設置されており、求人票の作成支援や候補者の紹介といったサービスを無料で利用できます。
障害者専門の人材紹介サービスや就労移行支援事業所といった民間の支援機関も有力なパートナーになり得ます。
障害特性に関する専門知識をもとに、企業のニーズと求職者のスキル・希望をきめ細かくマッチングしてくれるため、採用後の定着まで見据えた支援を受けることができます。
まとめ
2026年7月から民間企業の法定雇用率は2.7%に引き上げられ、対象企業の範囲も拡大します。対応には、自社の雇用状況の把握から業務の洗い出し・受け入れ体制の整備まで、計画的な準備が求められます。
法定雇用率への対応を検討している企業にとって、自社内での受け入れ体制構築が難しいケースもあるでしょう。そのような場合には、外部の支援サービスを活用することも選択肢の一つです。
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企業側は業務の切り出しや専用設備の整備が不要で、日々の業務管理は運営元のNEXT ONEが担当するため、運営負担を抑えながら法定雇用率への対応が可能です。最小1名・施設リース料なしのシンプルな料金体系で始めやすい点も特徴です。
法定雇用率の達成にお悩みの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。
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著者プロフィール
めぐるファーム編集部
障害者の雇用が少しでも促進されるよう、企業担当者が抱いている悩みや課題が解決できるようなコンテンツを、社内労務チームの協力も得ながら提供しています。