障害者1級とは?基準や受けられる支援、申請時の注意点を解説

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身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳1級(以下「障害者1級」といいます。)とは、障害者手帳の中でも特に障害の程度が重い区分を指し、日常生活において大きな制限がある、または、重度の機能障害があるなどと判断される状態です。ただし、身体・精神・知的障害では認定基準や等級の考え方が異なり、「どの状態なら1級に該当するのか分かりにくい」と感じる方も少なくありません。また、1級を所持することで受けられる支援や、更新制度についても事前に知っておくことが大切です。

今回は、障害者1級の基準や受けられる支援、申請時の注意点について解説します。

障害者1級の基準

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障害者1級の認定基準は、手帳の種類によって異なります。それぞれの手帳ごとの判定基準を確認していきましょう。

参照:
厚生労働省「身体障害者障害程度等級表(身体障害者福祉法施行規則別表第5号)
厚生労働省「障害者手帳

身体障害者手帳の場合

身体障害者手帳の1級は、障害の程度が最も重い区分であり、日常生活において常時介護を必要とする状態が認定の目安となっています。

身体障害は障害のある部位によって認定区分が異なります。1級の設定がある区分は「視覚障害」「肢体不自由(上肢・下肢・体幹・運動機能)」「内部障害(心臓・腎臓・呼吸器・膀胱または直腸・小腸・免疫・肝臓)」です。

一方、聴覚障害・平衡機能障害・音声言語そしゃく機能障害については、1級の区分が設けられていません。

各障害区分における1級の主な認定基準は以下の通りです。

視覚障害では視力の良いほうの眼の視力が0.01以下であること、肢体不自由(上肢)では両上肢の機能を全廃したもの、または両上肢を手関節以上で欠くもの、肢体不自由(下肢)では両下肢の機能を全廃したもの、または両下肢を大腿の2分の1以上で欠くものが該当します。

体幹の場合は機能障害により座っていることができない状態、運動機能の場合は不随意運動・失調等により上肢を使用する日常生活動作がほとんど不可能な状態または歩行が不可能な状態が基準となります。心臓・腎臓・呼吸器などの内部障害については、機能障害により自己の身辺における日常生活活動が極度に制限される状態が目安です。

なお、異なる部位に2つ以上の障害がある場合は、各部位の等級を合算して総合的に判定されます。そのため、単独では1級の基準に満たない場合でも、複数の障害が重なることで1級に認定されるケースがあります。

療育手帳の場合

療育手帳には、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳のような全国共通の「1級」という等級区分は存在しません。

国のガイドラインでは、障害の程度を重度「A」とそれ以外「B」の2区分に分けています。ただし自治体によってさらに細分化されており、「A1・A2」「B1・B2」と区分するケースや、東京都の「愛の手帳」のように「1度〜4度」と表記するケースも多くあります。

最重度に相当する区分(「A1」「1度」など)の目安はIQがおおむね20以下で、言葉によるやり取りや身近な物事の理解が難しく、日常生活のあらゆる場面で常時個別的な援助を必要とする状態が該当します。

ただし、IQの数値だけで判定が決まるわけではなく、日常生活能力・社会適応力・介護の必要度などを総合的に評価した上で等級が決定されます。

等級の名称・区分・判定基準は自治体によって異なるため、詳細は居住地の市区町村窓口に確認することが必要です。

精神障害者保健福祉手帳の場合

精神障害者保健福祉手帳の1級は、「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度」と定義されており、他者の援助がなければほとんど身辺管理ができない状態が該当します。

具体的には、食事や入浴といった基本的な日常動作を自発的に行えない、金銭管理に常時援助が必要、医療機関への通院を単独で行うことが困難、他者とのコミュニケーションが著しく困難といった状態が目安となります。

対象となる疾患は、統合失調症・うつ病・双極性障害・てんかん・発達障害(ADHD・ASD・LDなど)・高次脳機能障害・アルコール依存症など多岐にわたります。

なお、診断名のみで等級が確定するものではなく、実際にどの程度日常生活を送れているかが総合的に判断されます。

精神疾患の等級判定では、症状の重さと日常生活への支障度の両面が評価対象となります。判定にあたっては現時点の状態に加え、過去2年間および今後2年間の経過も加味されます。

また、同じ疾患・同じ症状であっても、家族によるサポートの有無などの環境的要因によって判定結果が異なる場合があります。

障害者手帳1級で受けられる支援・サービスの内容

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障害者手帳1級を所持することで、税制上の優遇をはじめ、医療費助成や交通機関の割引など、さまざまな支援・サービスを受けられるようになります。ここでは、主な支援内容をそれぞれ解説します。

税金の控除や優遇を受けられる

障害者手帳1級に該当する方の大半は、税制上「特別障害者」として位置づけられます。主な対象となるのは、身体障害者手帳1級・2級、精神障害者保健福祉手帳1級、療育手帳の重度(A判定)などです。

所得税の控除額は特別障害者が年間40万円、一般障害者が27万円と、その差は13万円になります。

住民税についても、特別障害者は30万円であり、一般障害者の26万円よりも手厚い控除が適用されます。

さらに、特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族と同居している場合(「同居特別障害者」)、所得税の控除額は75万円まで拡大されるため、障害のある家族を扶養する側の税負担軽減にもつながります。

相続税についても優遇があり、特別障害者の場合は「85歳までの年数×20万円」で控除額が計算されます。一般障害者は「85歳までの年数×10万円」であるため、1年あたりの控除額が2倍となります。

また、自動車税の減免制度も用意されていますが、適用範囲は手帳の種類や居住地の自治体によって異なります。

特別障害者手当が受給できる

税制上の「特別障害者」に該当する方のうち、常時特別な介護を必要とする在宅の重度障害者(20歳以上)を対象として、月額約30,450円(※)が支給されるケースがあります。

ただし、手帳の等級だけで自動的に支給が決まるわけではなく、日常生活における介護の必要度などをもとに個別に判定されます。

また、本人または扶養義務者の所得が一定額を超える場合は受給できない所得制限も設けられています。該当する可能性がある場合は、居住地の市区町村の福祉担当窓口や年金事務所に相談し、支給要件や申請手続きを確認することをおすすめします。

※令和8年4月時点の情報です。

各種医療費の助成を受けられる

自立支援医療制度は、精神・身体の障害に関する医療費について、自己負担割合を原則1割まで抑える仕組みです。対象となる障害の種別によって、「精神通院医療」「更生医療」「育成医療」の3つに区分されています。

精神通院医療は精神疾患による継続的な通院医療費が対象で、精神障害者保健福祉手帳がなくても申請できます。更生医療は身体障害者手帳の交付を受けた18歳以上の方が対象で、障害を除去・軽減するための手術などの治療費に適用されます。

育成医療は身体に障害を有する18歳未満の児童が対象です。

また、重度心身障害者医療費助成制度として、各都道府県・自治体が独自に医療費を助成しています。名称・対象範囲・助成内容は自治体によって大きく異なるため、詳細は居住地の障害福祉窓口で確認が必要です。

交通機関・公共施設の割引を受けられる

障害者手帳を提示すると、鉄道・バス・タクシー・飛行機といった公共交通機関の運賃が割引となります。

JRの5割引は身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の3種類が対象です(精神障害者保健福祉手帳については2025年4月1日より新たに対象に加わりました)。

なお、精神障害者保健福祉手帳については手帳に旅客鉄道株式会社旅客運賃減額欄の記載(第1種または第2種)があり、顔写真が貼付されていること、有効期限内であることが適用条件となります。

私鉄・バスは各事業者が独自に割引を設定しており、手帳の種類・等級・自治体によって内容が変わります。

タクシーは身体障害者手帳・療育手帳を対象とした1割引が国土交通省通達に基づき全国で実施されています。精神障害者保健福祉手帳についても多くの事業者が同様に1割引を適用していますが、事業者ごとの認可に基づく取り扱いであるため、利用前に確認することをおすすめします。

美術館・博物館・動物園などの公共施設については、入場料が割引または無料になる場合もあります。

NHK受信料については、世帯主かつ受信契約者が(1)視覚・聴覚障害により身体障害者手帳を所持、(2)身体障害者手帳1級・2級、(3)療育手帳A判定に相当する重度の知的障害、(4)精神障害者保健福祉手帳1級、のいずれかに該当する場合は半額免除となります。

教育費の援助を受けられる

特別支援学校や通級指導教室などに通う児童生徒の保護者を対象に、「特別支援教育就学奨励費」が支給されます。

学用品費・学校給食費・修学旅行費・通学費など、教育にかかる費用の一部が援助されるため、家庭の経済的な負担を軽減できます。

障害者雇用枠で就労できる

障害者手帳を申請・所持することで、障害者雇用枠での就労が可能になります。

障害者雇用枠では、障害の特性に応じた合理的配慮(勤務時間の調整・業務内容の変更・在宅勤務の許可など)を受けながら働けるため、就労による心身への負担を軽減しやすい環境が整っています。

また、障害者雇用枠は一般枠とは別の採用枠として選考が行われます。障害があることを前提とした選考プロセスであるため、自分に合った働き方を検討しやすくなります。

障害者手帳1級の申請/所持で注意したいポイント

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障害者手帳1級を申請/所持する際には、更新制度の違いや等級変更の可能性、所得制限など、あらかじめ把握しておきたいポイントがあります。それぞれ確認しておきましょう。

障害者手帳の種類によって更新制度が異なる

障害者手帳の更新制度は、手帳の種類によって大きく異なります。

身体障害者手帳は原則として有効期限が設けられておらず、更新手続きは不要です。ただし、障害の状態が改善する可能性があると判断された場合には、交付から一定期間が経過した後に再認定が行われることがあります。

一方、精神障害者保健福祉手帳には2年間の有効期限が設けられており、引き続き利用するためには2年ごとに更新手続きが必要です。

精神疾患は治療や生活環境の変化によって症状が比較的短期間で変化しうるため、定期的な審査が行われる仕組みになっています。

更新申請は有効期限の3か月前から受け付けており、期限を過ぎると手帳が失効し、新規申請と同様の手続きが必要になります。有効期限の管理には注意が必要です。

更新時や再認定時に等級が変更される場合がある

精神障害者保健福祉手帳の更新にあたっては、提出した診断書や障害年金証書の写しに基づき、等級が改めて審査されます。

症状の回復・改善に伴い、等級が引き下げられるケースもあり、状態によっては手帳の交付対象に該当しないと判断される場合もあります。

身体障害者手帳においても、再認定の結果、障害の程度に変化が認められた際には等級が見直されることがあります。症状の改善時だけでなく、障害が重症化した場合にも、等級の見直しを目的とした再認定を申請することができます。

更新や再認定の結果に不安を感じる場合は、主治医や市区町村の障害福祉窓口に事前に相談しておくと安心です。

制度のなかには所得制限があるものもある

障害者手帳1級を所持していても、手当の種類や医療費助成よっては所得制限が課されており、本人・配偶者・世帯の所得が基準額を上回ると受給対象外となる場合があります。

対象となる主な制度は、特別障害者手当・自立支援医療・重度心身障害者医療費助成などです。例えば特別障害者手当では、本人の前年所得が所得制限限度額を超える場合、または配偶者や生計を同じくする扶養義務者の所得が一定額以上の場合には支給されません。

所得制限の具体的な金額は制度や自治体によって異なるため、申請前に居住地の市区町村障害福祉窓口で確認することをおすすめします。

まとめ

障害者1級は、障害の程度が重く日常生活に大きな支援を必要とする方を対象とした区分であり、税制優遇や医療費助成、交通機関の割引など幅広い支援を受けられます。一方で、手帳の種類ごとに認定基準や更新制度、利用できる制度の条件は異なるため、正しい理解が重要です。自身や家族の状況に合った支援を受けるためにも、制度内容を確認しながら早めに自治体窓口へ相談していきましょう。

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