「ADHDかもしれない」と感じ、精神科と心療内科のどちらを受診すればよいか迷う方は少なくありません。実は、ADHDの診断はどちらの科でも受けられますが、医療機関によって診療の体制が異なるため、事前に確認しておくと安心して受診できるでしょう。今回は、精神科と心療内科の違いや診断の流れ、医療機関の選び方について解説します。
【結論】ADHDの診断は精神科・心療内科どちらでも受けられる

ADHDの診断は、精神科でも心療内科でも受けることができます。2つの科は名称こそ異なりますが、実際のクリニックでは「精神科・心療内科」として両者を同時に掲げているケースが多く、診療内容に大きな差はありません。
ただし、すべての医療機関でADHDの診断が受けられるわけではありません。クリニックによっては、うつ病や不安障害などを専門としており、ADHDや発達障害の診療には対応していない場合もあります。
そのため、「精神科」または「心療内科」と書かれているだけで安心するのではなく、発達障害の診療に対応しているかを事前に確認することが大切です。
精神科と心療内科の違い

精神科と心療内科はどちらも「こころの病気」に関わる診療科ですが、本来の対象疾患には違いがあります。それぞれの特徴を理解したうえで、自分に合った受診先を選びましょう。
対象疾患の違い
精神科は、心の病気を専門に診療する科です。うつ病や統合失調症、双極性障害など、精神的な症状が主な診察対象となります。
一方、心療内科は、心理的なストレスや感情が原因となって身体に症状が現れる「心身症」を専門とする科です。頭痛や胃痛、倦怠感などの身体症状があり、そこに心理的な要因が関係していると思われる場合に適した受診先です。
治療方法の違い
精神科では薬物療法を軸に、精神療法や認知行動療法を組み合わせた治療が行われます。
一方、心療内科では生活習慣の見直しや心理療法を重視しながら、必要に応じて薬物療法やリラクゼーション療法を取り入れるアプローチが一般的です。
ADHDの治療に関しては、精神科・心療内科ともに薬物療法と心理社会的支援を組み合わせる点で共通しており、診療科による大きな違いはありません。
どちらを受診した場合でも、本人の状態や生活背景に合わせた包括的なサポートを受けられます。
ADHDかどうか診断する際の流れ

「もしかしてADHDかもしれない」と感じても、実際にどのような手順で診断が進むのか分からず、受診をためらう方もいるのではないでしょうか。ここでは、初めて受診する方が安心して臨めるよう、問診から検査、診断結果を受け取るまでの一般的な流れを順に解説します。
問診をする
受診後にまず行われるのが問診です。医師が本人から現在の症状や日常生活での困りごと、これまでの生活歴などを丁寧に聞き取ります。
発達障害の特性として、本人が自覚していないケースも少なくないため、家族や職場の同僚など身近な人物からも話を聞くこともあります。
問診をスムーズに、かつ正確に進めるために、事前に以下のような情報をまとめておくと役立ちます。
- 小学生のころから感情のコントロールが難しかった、社会人になってから遅刻や忘れ物が増えたといった生活歴のメモ
- 抑うつ感が続いている、些細な音が気になって集中できないといった具体的な困りごと
- 過去にてんかん発作を経験したことがある、うつ病と診断されたことがあるなどの既往歴
- 母子手帳や学校の通知表などの生育歴に関する資料
- インターネット上で利用できるセルフチェックツール「ASRS-v1.1」の結果メモ
これらを事前に整理しておくことで、医師に状況を正確に伝えやすくなります。
ADHDの検査をする
問診に続いて、必要に応じて各種検査が実施されます。どの検査が行われるかは医療機関や受診者の年齢によって異なりますが、ADHDの診断に用いられる主な検査としては次のようなものがあります。
児童を対象とする場合は「ADHD-RS」や「Conners 3日本語版」が使われることが多く、成人を対象とする場合は「CAARS(成人ADHD評価尺度)」が用いられるのが一般的です。
また、発達のバランスを客観的に把握するための知能検査・発達検査として、「ウェクスラー式知能検査(WISC-ⅣまたはⅤ)」「ビネー式知能検査(田中ビネーⅤ)」「新版K式発達検査」などが実施される場合もあります。
これらは知的水準や認知の偏りを把握するためのもので、ADHD診断の補助的な根拠として活用されます。
診断結果を受ける
問診や各種検査の結果をもとに、DSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)の最新版であるDSM-5-TRの診断基準と照らし合わせながら、医師が総合的に判断を行います。
ADHDに似た特性を持つほかの発達障害や精神疾患との鑑別も必要なため、診断を下せるのは専門的な知識を持つ医師に限られます。
DSM-5-TRにおける主な診断基準は、「不注意傾向」と「多動性・衝動性傾向」の2つの軸で構成されています。
不注意傾向としては、ケアレスミスが多い・課題を最後までやり遂げることが困難である・物忘れが多いといった症状が該当します。
多動性・衝動性傾向としては、じっとすることが難しい・話しすぎてしまう・相手の話を遮って話し始めてしまうといった行動が挙げられます。
これらの項目のうち、不注意または多動性・衝動性のいずれかの軸で6つ以上(17歳以上の成人では5つ以上)に該当する状態が6か月以上にわたって継続していることが、診断の目安となっています。
ADHDに対応できる医療機関の選び方
ADHDの診断を受けるためには、対応している医療機関を事前にしっかりと調べておくことが重要です。以下のポイントを参考に、自分に合った医療機関を探しましょう。
発達障害の診療に対応しているか確認する
ADHDの診断を希望する場合、受診前にその医療機関が発達障害の診療に対応しているかを必ず確認しましょう。ホームページに「発達障害外来」や「大人のADHD」などの記載がある場合は、専門的な対応が期待できます。電話で確認する際は「大人のADHDの診断は行っていますか」と直接聞くのが確実です。
ADHD治療薬の処方が可能か確認する
ADHDの治療薬のひとつであるコンサータ(メチルフェニデート)は、依存性のリスクがあるため、処方できる医師が「コンサータ適正流通管理委員会」に登録されていることが条件となっています。すべての精神科・心療内科医が処方できるわけではないため、薬物療法を希望している場合は事前に確認しておくとよいでしょう。
予約方法と待ち時間を事前に確認する
発達障害の診療を行っているクリニックは患者数が多く、予約が取りにくい傾向にあります。初診まで数週間から数か月待ちになるケースもあるため、受診を思い立ったら早めに連絡することをおすすめします。
また、市区町村の保健センターに相談すると、発達障害の診療に対応している医療機関を紹介してもらえることがあります。自治体によっては対応医療機関のリストを公開している場合もあるため、チェックしてみてください。
まとめ
ADHDの診断は精神科・心療内科どちらでも受けることができますが、すべての医療機関が発達障害に対応しているわけではありません。受診先を選ぶ際は、科の名称にとらわれず、発達障害の診療実績や専門外来の有無を確認することが重要です。
診断の流れとして問診・心理検査・診断の決定というステップを経るため、受診前に症状や生育歴をまとめておくとスムーズです。まずはホームページや電話で受け入れ可能か確認し、できるだけ早めに予約を入れるようにしましょう。心当たりのある方は、ぜひ専門の医療機関に相談してみてください。
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めぐるファーム編集部
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