きょうだい児とは?きょうだい児が抱える悩みや問題、支援機関も紹介

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兄弟の画像

障害や難病のある兄弟姉妹とともに育つきょうだい児は、親から「しっかりしている」「問題ない」とみられやすい一方で、言葉にできない悩みを抱えていることがあります。わが子の気持ちに寄り添いたいと思っても、何をどうサポートすれば良いか迷う親御さんも多いのではないでしょうか。今回は、きょうだい児が直面しやすい悩みや課題、活用できる支援機関について解説します。

きょうだい児とは

車いすの男の子を押す女の子の画像

ここでは、きょうだい児の定義やひらがな表記の理由、ヤングケアラーとの違い、そして日本にどれほどの人数がいるかについて解説します。

なぜひらがなで表記されるのか

きょうだい児とは、身体障害・知的障害・発達障害・難病など、病気や障害を抱える兄弟姉妹とともに育つ子どものことを指します。

「きょうだい」をひらがなで表記するのには明確な理由があります。「兄弟」と漢字で書くと男きょうだいに限定されてしまうため、兄妹・姉弟・姉妹といったあらゆる組み合わせを含められるよう、あえてひらがなが使われています。

なお、成人した当事者については、「きょうだい者」と呼ばれることもあります。

ヤングケアラーとの違い

「きょうだい児」と混同されやすい概念に「ヤングケアラー」があります。両者の違いを整理しておきましょう。

きょうだい児であることと、ヤングケアラーであることは、必ずしも同じではありません。きょうだい児のすべてが、障害のある兄弟姉妹の直接的な世話やサポートをしているわけではないからです。

一方、本来は大人が担うべき家事や兄弟姉妹のケアを日常的に行っている場合は、「きょうだい児」でありながら同時に「ヤングケアラー」にも該当します。

つまり、「ヤングケアラー」は「きょうだい児」より限定的な概念であり、障害のある兄弟姉妹の世話など本来大人が担うべきケアを日常的に行っている子どもを指します。

きょうだい児が直面する悩み・課題

悩んでいる女の子の画像

きょうだい児が置かれる状況は家庭や環境によって異なりますが、成長の過程で共通して感じやすい悩みや課題があります。

ここでは、幼少期から成人期にかけて見られる悩みや課題を、ライフステージごとに見ていきます。

【幼少期】寂しさと我慢

幼い頃のきょうだい児は、親の関心や時間が障害のある兄弟姉妹に向きやすい環境の中で育つことがあります。そのため、かまってほしい気持ちをうまく伝えられず、遠慮してしまう場面も見られます。

また、「親に負担をかけたくない」という思いから、自分の気持ちを抑え、周囲に気を配る行動が習慣になることもあります。

この時期は、自分の置かれている状況を十分に理解していないことも多く、悩みが表に出にくいことがあります。そのため、周囲の大人が気持ちに気づき、寄り添うことが大切です。

【学齢期】葛藤と孤独感

小学生以降になると、社会との関わりが増える中で、きょうだいに関する周囲の反応に戸惑いを感じることがあります。

また、きょうだいに対する複雑な感情を抱えたり、自分の気持ちとの向き合い方に悩んだりすることもあります。

中学生頃になると、家庭の状況をより理解できるようになり、責任感が芽生える一方で、将来について考える機会も増えていきます。こうした中で、不安や孤独感を感じることもあります。

世間からの偏見によるストレス

障害に対する理解が十分でない場合、外出時に周囲の視線が気になったり、心ない言葉を耳にしたりすることがあります。

また、「きょうだいだから支えるのが当然」といった無意識の期待が、プレッシャーとして感じられることもあります。こうした環境が、心理的な負担につながる場合もあります。

精神的な不安定さと孤独感

親の関心や時間が障害のある兄弟姉妹に集中しやすいため、きょうだい児は十分な愛情や精神的サポートを受けにくく、孤独感や疎外感を抱えやすい状況に置かれることがあります。

加えて、「親が亡くなったあとは自分が一生きょうだいの面倒を見なければならないのではないか」という重圧が、幼い頃から心の奥に蓄積されていくことも少なくありません。

見通しの立ちにくい将来への漠然とした不安が、精神的な不安定さにつながりやすいとされています。

人間関係(友人・恋愛・結婚)への悪影響

家庭内で自分の感情や欲求を抑え込むことが日常化していると、友人関係でも同様のパターンが現れやすくなります。相手に合わせることが習慣になっているため、他者と深い信頼関係を築くことに難しさを感じるケースがあります。

恋愛や結婚の場面でも、障害に理解のある相手だけを求めて交友の幅を狭めてしまったり、交際相手やその家族からの理解が得られずに関係が破綻したりするケースもあります。

人生の大切な局面で、きょうだい児であることが影を落とすことは珍しくありません。

多様な経験をする機会の喪失

障害のある兄弟姉妹のケアやサポートが家庭の優先事項となることで、家族での旅行や遠出が制限されるなど、他の家庭と比べて行動範囲が狭まりがちです。

友達と過ごす時間や習い事、学校行事への参加が難しくなる場合もあり、子どもとして本来経験できるはずの豊かな体験の機会が失われてしまいます。

こうした経験の不足は、自己成長や社会的スキルの発達にも影響を及ぼすおそれがあります。

将来の選択肢の制限(自己犠牲)

「親に経済的な負担をかけないように」「きょうだいのそばにいられるように」という思いから、本来望んでいた進学先や職業を諦め、実家から通える安定した道を選んでしまうケースもあります。家族への気遣いが、自分自身の夢や可能性を狭める結果につながってしまうのです。

成人してからも、自身の結婚・子育てと家族の介護を両立することへのプレッシャーを感じてしまう場合も少なくありません。自己犠牲を重ねるうちに心身の負担は増し、人生の節目ごとに困難に直面しやすくなるという問題があります。

きょうだい児が自分の人生を主体的に選択できるよう、社会的なサポートの整備が求められています。

きょうだい児への支援を行っている機関もある

子を抱っこする母親の画像

きょうだい児が抱える悩みや困難は、一人で抱え込まずに済む環境が少しずつ整ってきています。近年では、きょうだい児の孤立を防ぎ、当事者同士が気持ちをわかち合える場をつくることを目的とした支援機関や団体が、各地で活動しています。

こうした機関では、同じ立場のきょうだい児が集まって体験や思いを語り合う交流の場の提供、専門家によるカウンセリングや相談窓口の運営、きょうだい児の存在を社会に広く知ってもらうための啓発活動など、多様な取り組みが行われています。

きょうだい児が「自分だけではない」と気づくことは、孤独感の軽減につながります。同じ悩みを持つ仲間との出会いや、専門家のサポートを受けることで、これまで誰にも打ち明けられなかった気持ちを言葉にできるようになるケースも少なくありません。

もし身近にきょうだい児がいる場合や、当事者として悩みを抱えている場合は、こうした支援機関や交流の場をひとつの選択肢として検討してみてください。一人で抱え込まず周囲のサポートを頼ることが、心の負担を和らげる大切な一歩となります。

まとめ

きょうだい児は、幼少期の孤独や学齢期の葛藤、将来の選択肢の制限など、ライフステージを通じてさまざまな困難に直面しやすい状況にあります。しかし近年は支援機関や交流の場も広がっており、一人で抱え込まない選択肢が増えてきています。きょうだい児本人はもちろん、周囲の大人も正しい理解を深め、必要なサポートへとつながっていきましょう。

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