就労継続支援とは、障害や難病により一般就労が難しい方が、働く機会と支援を受けながら就業を継続できる福祉サービスです。「A型・B型の違いがわからない」「就労移行支援とどう違うの?」と疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。今回は、就労継続支援の基本的な仕組みや各タイプの特徴、利用の流れ、事業所選びのポイントについて詳しく解説します。
就労継続支援とは

就労継続支援は、障害者総合支援法(正式法令名:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)にもとづく福祉サービスです。一般企業での就労が難しい方に対して、働く機会の提供と知識・能力向上のための訓練を行います。
制度は「A型」と「B型」の2種類に分かれており、いずれも利用期間に制限はなく、就労の対価として賃金または工賃が支払われます。なお、前年の世帯収入に応じて、利用料が発生する場合があります。
就労移行支援との違い
就労継続支援と就労移行支援は名称が似ていますが、目的や対象者、制度の内容が異なります。
就労移行支援は一般企業への就職を目指す方を対象としたサービスです。就職に向けたスキル訓練や求職活動のサポートを受けられますが、利用期間は原則2年と定められており、基本的に給与は支払われません。
働く場を確保しつつ長期的な支援を受けたい方には就労継続支援が、将来的に一般就労を目指す方には就労移行支援が適しています。自分の状況や目標に合わせて、適切なサービスを選ぶことが大切です。
就労継続支援A型・B型の違い

就労継続支援にはA型とB型の2種類があります。両者の最大の違いは、雇用契約の有無です。
A型は事業所と雇用契約を結んで最低賃金以上の給与を受け取るのに対して、B型は、雇用契約を結ばず、体調や障害の状態に合わせて自分のペースで作業をし、成果として工賃を受け取ります。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
就労継続支援A型の特徴
A型は、一般企業での就労は難しいものの、雇用契約を締結した上で継続的に働くことができる方を対象としたサービスです。
最大の特徴は、原則として最低賃金以上の給与が保障される点です。厚生労働省によると、令和6年度の全国平均賃金は月額91,451円です。
対象年齢は原則65歳未満で、仕事内容はデータ入力やWebデザイン、飲食店スタッフ、清掃業務など多岐にわたります。
一般企業から請け負った実践的な業務に携わる機会も多く、実際の職場に近い環境で経験を積めることも魅力のひとつです。
制度上の利用期間に制限はありませんが、事業所との雇用契約には契約期限がある点に注意が必要です。また、前年の世帯収入によっては、サービスの利用料が発生する場合があります。
就労継続支援B型の特徴
B型は、障害や難病により雇用契約を結んで働くことが難しい方を対象としており、雇用契約を結ばずに利用できる点が最大の特徴です。
最低賃金の保障はありませんが、体調や障害の程度に合わせて無理のないペースで作業できるのが大きなメリットです。
労働の対価は給与ではなく「工賃」として支払われます。厚生労働省によると、令和6年度の全国平均工賃は月額24,141円となっています。
仕事内容は農作業やお菓子の製造、部品の加工といった比較的取り組みやすい業務が中心で、対象年齢の制限もありません。
利用期間にも上限はなく、長期的にサポートを受けながら自分のペースで就労を継続できます。A型と同様に、前年の世帯収入に応じてサービスの利用料が生じる場合があります。
出典:
厚生労働省「令和6年度工賃(賃金)の実績について」
厚生労働省「障害者の利用者負担」
就労継続支援を利用する際の流れ

就労継続支援(A型・B型)を利用するには、以下のステップを順に進める必要があります。また、令和7年10月からの制度改正により、手続きの一部に重要な変更が加わっています。それぞれのステップを確認しておきましょう。
1. 主治医への相談(B型の場合)
就労継続支援B型を利用したい場合、最初のステップは主治医への相談です。
現在の体調や生活状況をかかりつけの医師に伝え、事業所を利用することについて了承を得る必要があります。
日常的に医師と連携をとっておくことで、スムーズに次のステップへ進みやすくなります。
2. 事業所の検索・見学・応募
主治医への相談を終えたら、希望する地域の事業所をインターネットなどで探し、求人に応募します。
事業所を探す際は、障害者就業・生活支援センターや市区町村の窓口に相談すると、地域の事業所情報を案内してもらえます。
利用開始後のミスマッチを防ぐためにも、応募前に見学や体験利用を活用することをおすすめします。
3. 【重要】「就労選択支援」の利用(令和7年10月以降)
令和7年10月より、新たに「就労選択支援」が創設されています。これは、本人の希望や適性・就労能力に合ったより良い選択を支援するためのサービスです。
就労継続支援B型の利用申請を行う前には、原則としてこのサービスを利用し、事前の就労アセスメントを受けることが必須です。
アセスメントでは、短期間の作業体験などを通じて適性や能力を評価し、どのような進路が本人に合っているか、多機関連携会議を交えながら整理するプロセスが設けられています。
就労継続支援A型を新たに利用する場合は、令和9年4月以降に同様の事前利用が原則必須となる予定です。制度改正の内容を事前に把握しておくことが、スムーズな手続きにつながります。
出典:厚生労働省「就労選択支援について」
4. 自治体の窓口での利用申請
利用する事業所が決まり、必要なアセスメントを終えたら、お住まいの市区町村の障害者福祉窓口で就労継続支援の利用申請を行います。
手続きの流れや必要書類は自治体によって異なるため、まずは窓口で「就労継続支援を利用したい」と相談するところから始めましょう。
就労継続支援事業所を探す際のポイント
ここでは、事業所選びで押さえておきたいポイントを解説します。
1. 作業内容と給与・工賃のバランス
作業内容が自分の障害特性や体力に合っているかどうかの確認が、事業所選びの第一歩です。
平均給与・工賃が高い事業所は魅力的に映りますが、その分、一定の作業ペースや出勤日数が求められることもあります。体調に波がある場合、高い給与・工賃を維持しようとすることで無理が生じ、かえって継続が難しくなるケースもあります。
給与・工賃の数字だけでなく、「自分のペースで働けるか」「体調が優れない日に柔軟に対応してもらえるか」という視点で、バランスを見極めることが大切です。
2. 通いやすさ
事業所までのアクセスが通いやすいかどうかは、継続利用する上で大切な要素です。
通勤時間や交通費の負担、送迎サービスの有無は、事前に確認しておきましょう。また、勤務の開始・終了時間が自分の生活リズムに合っているかどうかも確認しておきたいポイントです。
さらに、体調不良時に無理なく休める環境かどうかも、長く安心して通うためにあわせて見ておきましょう。
3. 支援内容と職場の雰囲気・相性
支援の質や事業所の雰囲気が自分に合っているかどうかは、継続利用を左右する重要なポイントです。
まず、体調への配慮や生活リズムを整えるための支援体制が整っているかを確認しましょう。
また、将来的なステップアップを見据える場合は、A型事業所から一般就労へ、B型事業所からA型事業所へと移行するためのサポートがあるかどうかも確認しておきたい点です。
さらに、実際にスタッフや他の利用者と話し、自分が自然体でいられる雰囲気かどうかも大切な判断基準となります。
まとめ
就労継続支援は、障害や難病を抱える方が長期的に就労を継続するための福祉サービスです。雇用契約を結んで最低賃金以上の給与を得られるA型と、自分のペースで作業し工賃を受け取るB型があり、それぞれ対象となる方や働き方の特徴が異なります。
事業所を選ぶ際は、工賃だけでなく作業内容や通いやすさ、職場の雰囲気など、自分に合った環境かどうかを総合的に見ることが大切です。
ご自身の体調や目標に合った事業所を見学・体験し、無理なく長く働き続けられる環境をぜひ探してみてください。
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著者プロフィール
めぐるファーム編集部
障害者の雇用が少しでも促進されるよう、企業担当者が抱いている悩みや課題が解決できるようなコンテンツを、社内労務チームの協力も得ながら提供しています。