発達障害で仕事が続かない理由とは?仕事を長く続けるための方法やおすすめの仕事も紹介

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転職を繰り返してしまう、どの職場でも同じ失敗を繰り返してしまう、そのような悩みを抱えている方の中には、発達障害の特性が影響しているケースがあります。

発達障害による仕事の困りごとは、特性と環境とのミスマッチによるものが多いです。今回は、発達障害で「仕事が続かない」状態が起きてしまう背景や長く続けるための方法、特性を活かせる仕事や支援機関について解説します。

発達障害の方で「仕事が続かない」状態が起きてしまう背景

発達障害の画像

発達障害のある方が仕事を続けにくい背景には、個人の能力や努力だけではなく、それぞれの特性と職場環境・業務内容との相性が影響している場合があります。

以下では、発達障害の種類別に、「仕事が続かない」と感じやすくなる要因を見ていきましょう。

ADHD(注意欠如多動症)の場合

ADHDの特性として、注意のコントロールや計画的な行動、衝動性の調整などに難しさを感じることがあり、職場のさまざまな場面で影響が出ることがあります。

注意の持続やミスへの影響が出やすい

長時間集中し続けることに負担を感じることがあり、確認漏れや物忘れといったミスにつながる場合があります。

また、ワーキングメモリの特性により、複数の指示を同時に受けると整理が難しく、結果として抜け漏れが生じることもあります。

スケジュールや優先順位の管理に難しさを感じやすい

物事の優先順位づけや計画的な進行に負担を感じることがあり、納期やスケジュールの調整に苦労する場面が生じることがあります。

衝動的な言動が人間関係に影響することがある

思いついたことをすぐに発言・行動に移す傾向があり、意図せず相手の話を遮ってしまうなど、コミュニケーションの行き違いが生じることがあります。その結果、人間関係に影響が出る場合もあります。

過集中と疲労の波が生じやすい

関心のある業務には高い集中力を発揮する一方で、気づかないうちに負担が蓄積し、疲労や意欲の低下として表れることがあります。

ASD(自閉スペクトラム症)の場合

ASDの特性として、コミュニケーションの取り方や環境の変化への対応、感覚の受け取り方などに特徴があり、それが仕事の進め方に影響することがあります。

コミュニケーションで困難を感じる場面がある

言葉以外のニュアンスや暗黙のルールを読み取ることに負担を感じることがあり、意図がうまく伝わらなかったり、周囲との認識にズレが生じたりすることがあります。

その結果、ストレスを感じる場面が増えることもあります。

曖昧な指示への対応に戸惑いやすい

抽象的な表現や状況に応じた判断を求められる場面で、どのように行動すればよいか迷うことがあります。具体的で明確な指示がある方が、安心して業務に取り組みやすい傾向があります。

変化への対応に負担を感じやすい

予定外の変更や突発的な対応が求められると、見通しが立ちにくくなり、強い負担を感じることがあります。その影響で、作業の進行に支障が出る場合もあります。

感覚刺激による影響を受けやすい

光や音、においなどの刺激に敏感な場合、職場環境によっては疲れやすさや集中しづらさにつながることがあります。

LD(学習障害)の場合

LDの特性として、読み書きや計算など特定の分野において情報処理の方法に違いがあり、それが業務上の困難として表れることがあります。

特定の作業で困難が生じやすい

文章の読み取りや作成、数値の扱いなどに時間がかかったり、負担を感じたりすることがあります。そのため、業務の進行に影響が出る場合があります。

業務の習得に時間を要する場合がある

言語や数値情報の理解に工夫が必要な場合があり、新しい業務を覚えるまでに時間がかかることがあります。

周囲との認識のズレが生じることがある

特定の業務における困難が周囲に伝わりにくく、意図しない誤解が生じることがあります。その結果、働きづらさや心理的な負担につながる場合もあります。

このように、特性と職場環境・業務内容との相性によって、仕事を続けることに難しさを感じる場合があります。

仕事が続かない場合に考えられる影響

悩んでいる画像

仕事が続かない状況が続くと、生活や将来に対してさまざまな影響が生じることがあります。ここでは、代表的なものを紹介します。

経済面での不安が生じやすくなる

収入が安定しにくくなることで、貯金が難しくなったり、急な支出への対応や将来の見通しを立てにくくなったりする場合があります。

経済面での不安が続くと、気持ちの面にも影響が及び、働き続けることに不安を感じやすくなることもあります。

自信や自己肯定感が揺らぐことがある

仕事がうまくいかない経験や短期間での離職が重なると、「また同じことになるのではないか」と不安を感じることがあります。こうした経験が続くことで、自信や自己肯定感が揺らぎ、次の仕事への一歩を踏み出しにくくなる場合もあります。

採用時の評価に影響する可能性がある

転職回数が多い場合、採用の場面でこれまでの経歴について確認されることがあります。そのため、状況によっては選考に影響が出る可能性もあります。

ただし、経験の内容や伝え方によって評価が変わるケースもあります。

スキルやキャリアの形成が難しくなる場合がある

在職期間が短い場合、ひとつの職場で業務スキルや専門知識をじっくり身につける機会が限られることがあります。

その結果、経験を積み重ねにくいと感じる場面が出てくる可能性があります。

働き方に対する不安や迷いが強くなることがある

仕事が長続きしない状況が続くと、「次も続けられるだろうか」といった不安を感じやすくなることがあります。また、働き方について悩む時間が増え、どのように仕事と向き合えばよいか迷いが生じる場合もあります。

こうした影響を和らげるためにも、早い段階で自分に合った働き方や支援を検討することが大切です。

発達障害のある方が仕事を長く続けるための方法

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発達障害の方が仕事を長く続けるために、次に紹介する方法を少しずつ取り入れてみましょう。

自分に合った工夫を見つけることが、安定した働き方への第一歩です。

自己理解で自分の得意・不得意を見極める

まず大切なのは、自分の特性や、どのような環境・業務が得意で、どんな場面でストレスを感じやすいのかを明確にすることです。

これまで経験した仕事の「よかったところ」と「疲れやすかったところ」を紙に書き出して整理する方法が有効です。

その日の調子や「うまくいったこと・失敗したこと」を定期的に記録することで、自分の好調・不調のパターンを把握しやすくなります。

自己理解を深めることで、職場や支援機関に自分の特性をうまく伝えられるようになります。

タスク管理ツールを使う

苦手なタスク管理を補うために、アプリやツールを活用して業務の抜け漏れを防ぐことが効果的です。

スマートフォンのリマインダー機能や、NotionやTodoistといったタスク管理ツールを使い、「やること」を視覚化しましょう。

朝一番に今日やることを3つだけリストアップする、ホワイトボードでスケジュールを管理するといった工夫も有効です。確認項目を言語化した「セルフチェックリスト」を作成しておくことで、ミスを仕組みで防ぐことができます。

LD(学習障害)がある方は、スマートフォンの音声入力・読み上げ機能や写真・動画などの補助ツールを活用することで、読み書きの負担を大幅に減らせます。

作業環境を整える

自身の特性に合わせて業務内容や職場環境を調整することも、仕事を長続きさせる上で重要です。

感覚過敏がある場合は、ノイズキャンセリングイヤホンや耳栓(聴覚)、PC画面の輝度を下げる(視覚)、パーテーションの設置(視界)、肌触りの良い服(触覚)といった環境調整を取り入れましょう。

対人関係の負担が大きい場合は在宅勤務、体調に波がある場合は短時間勤務やフレックスタイム制度など、働き方自体を見直すことも有効です。

また、上司や同僚に自分の「苦手なこと」と「助かる対応」をセットで伝えて合理的配慮を求めたり、一般枠ではなく障害者雇用の枠を選んで働きやすい環境を整えてもらったりする方法もあります。

一人で抱え込まず、周囲のサポートを活用しながら職場環境を整えることが、長く働き続けるための鍵です。

発達障害の特性を活かせる仕事

発達障害の特性は、環境や職種を選ぶことで強みになります。それぞれの特性を活かせるおすすめの仕事を紹介します。

ADHD(注意欠如多動症)におすすめの仕事

ADHDの方は、豊かな発想力や行動力、興味のある分野に対する高い集中力(過集中)が強みです。これらの特性を活かすためには、変化があり創造性を発揮できる職種が向いています。

具体的には、営業職、デザイナー、イラストレーター、動画編集者、プログラマー、エンジニアなどが挙げられます。

特に、スピード感があり成果が見えやすい環境で、持ち前の行動力が最大限に発揮されます。

定型的な作業よりも、アイデアを形にする仕事や、自分のペースで進められる仕事で力を発揮しやすいです。

ASD(自閉スペクトラム症)におすすめの仕事

ASDの方は、規則的・反復的な作業が得意で、細部への強いこだわりや、一人で黙々と集中できる特性が強みになります。対人コミュニケーションが少なく、一定のルールのもとで作業できる環境が向いています。

具体的には、データ入力、データ分析、仕分け、検品、清掃、在庫管理、経理事務、プログラマー、研究職、Webデザイナー、動画編集者などが挙げられます。

正確性や一貫性が求められる業務において、高い品質を安定して発揮できるという強みがあります。ルーティンワークや専門性の高い作業ほど、ASDの方の強みが最大限に活きてきます。

LD(学習障害)におすすめの仕事

LDの方は読み書きや計算など特定の学習分野に困難がある一方で、多くの方が、手先の器用さや視覚的な空間・距離感の把握能力が高いといった強みを持っています。文字や数字に頼らず、身体や感覚を使える職種との相性が良い傾向があります。

具体的には、軽作業(袋詰めなど)、手工芸、ものづくり、データ入力、調理関係などが挙げられます。視覚・触覚を活用する仕事では、読み書きの困難さが直接的な障壁になりにくく、能力を発揮しやすいです。

「苦手」を避けるだけでなく、「得意」を活かせる職種を選ぶことが、仕事を長続きさせる近道です。

「仕事が長続きしない」と悩む方におすすめの支援機関

一人で悩み続けるよりも、専門の支援機関を活用することで、より効果的に状況を改善できます。特性や状況に合わせてサポートしてくれる代表的な機関を紹介します。

就労移行支援事業所

就労移行支援事業所は、一般企業への就職を目指す方を支援する福祉サービスです。

客観的な自己理解を深めるアセスメントから始まり、ビジネスマナーや専門スキルの訓練、履歴書添削、面接練習などの実践的な就職活動サポートを受けられます。

就職後も原則6か月は職場への定着支援を受けられ、さらに希望に応じて就労定着支援(最長3年)に移行することも可能です。

ハローワーク(公共職業安定所)

全国のハローワークには、障害のある方の就職支援を専門とする「専門援助部門」などの窓口が設置されています。求人紹介や職業訓練、職場での業務をサポートするジョブコーチ支援などを案内してもらえます。

障害者手帳を持っていなくても、医師の診断書や意見書があれば支援を受けることが可能です。無料で利用できる公的機関として、最初に相談する窓口として活用しやすい機関です。

障害者就業・生活支援センター

仕事探しのサポートや職場定着の支援だけでなく、金銭管理や生活習慣、健康管理といった「日常生活に関する相談」も一体的に行ってくれます。仕事と生活の両方を包括的にサポートしてくれる点が、この機関の特徴です。

働き続ける上で生活面の安定が不可欠な方にとって、頼れる身近な相談窓口として活用できます。

発達障害者支援センター

発達障害に特化し、医療・福祉・労働などの機関と連携して総合的なサポートを行う専門機関です。仕事が続かない理由を一緒に整理し、状況に合ったアドバイスの提供や必要な支援機関への接続を行ってくれます。

発達障害に関する専門的な知見をもとに、個別性の高い支援を受けられる点が強みです。

地域障害者職業センター

ハローワークや医療機関と連携しながら、専門的な職業リハビリテーションを提供する機関です。職業能力の評価(職業評価)を実施し、適職や作業上の配慮事項を専門家が客観的に分析してくれます。

職場適応に向けた個別の支援計画を作成し、就職から職場定着まで一貫してサポートしてもらえます。より専門的な視点から自分の強みと課題を整理したい方に、特におすすめの機関です。

障害者雇用専門の転職エージェント

障害者雇用に特化した民間の転職サービスで、一般の求人サイトにはない非公開求人を紹介してもらえます。エージェントが企業に対して必要な配慮事項を伝えたり、条件交渉を代行してくれたりするほか、入社後のフォローアップも受けられます。

「自分に合う職場を見つけたい」「企業との交渉が不安」という方にとって、心強いパートナーとなる民間サービスです。

就労継続支援事業所(A型・B型)

就労継続支援事業所は、一般企業で働くことに困難がある方が、働きながらスキルや生活リズムを整えられる施設です。

A型事業所は雇用契約を結んで働く形態で、最低賃金が保障されます。

一方、B型事業所は雇用契約を結ばない形態で、週1回・短時間から自分のペースで作業に取り組めます。

体力やメンタルに自信がない方でも無理なく働き始められる環境が整っているため、「いきなり就職は不安」という方にはおすすめです。

まとめ

発達障害で仕事が続かないのは、本人の意欲や能力の問題ではなく、特性と環境とのミスマッチが主な原因です。自己理解を深め、タスク管理ツールや職場環境の調整を取り入れながら、自分の特性に合った働き方を見つけることが大切です。

また、就労移行支援事業所やハローワーク、発達障害者支援センターなど、専門の支援機関を活用することで、一人では難しい課題も乗り越えやすくなります。まずは自分の特性と向き合い、信頼できる支援機関に相談してみてはいかがでしょうか。

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めぐるファーム編集部

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