身体表現性障害(現在は「身体症状症」と呼ばれます)で仕事を休む際は、まず医師に相談し、診断書をもとに正式な手続きを行いましょう。検査で異常が見つからなくても、症状は本人にとって現実的なつらさを伴うものであり、無理を重ねれば回復が遠のいてしまいます。とはいえ、休職や働き方の調整をどう進めれば良いか迷う方も多いのではないでしょうか。今回は、身体表現性障害の主な症状や仕事を休む際の対処法、症状と向き合いながら働くポイント、向いている職場の特徴について解説します。
※本記事では、「身体表現性障害」の名称を用いて解説します。
身体表現性障害とは?主な症状

身体表現性障害の代表的な症状について、臨床的な視点から具体的に解説します。身体と心の関係性を理解することが重要です。
身体化障害
身体化障害は、強い痛みや不調があるにもかかわらず、医学的検査で明確な異常が見つからない点が特徴です。症状は本人にとって非常に現実的であり、決して気のせいではありません。
心理的ストレスが身体症状として現れ、慢性的な痛みや違和感が持続します。適切な診断には身体面と心理面の両方の評価が不可欠です。
【身体化障害の例】
- 頭痛や片頭痛が続く
- 腹痛や胃の不快感が慢性的にある
- 腰痛や関節痛が長期間改善しない
- 全身のだるさや疲労感が強い
転換性障害
転換性障害は、強いストレスや葛藤が身体症状に変換されて現れる状態で、かつては「ヒステリー」と呼ばれていました(現在この用語は医学的には用いられません)。神経学的な異常がないにもかかわらず、運動や感覚に障害が生じるのが特徴です。
心理的負担が無意識のうちに身体機能へ影響を及ぼすため、症状は突発的に出現することがあります。診断には神経疾患との慎重な鑑別が必要です。
【運動障害と感覚障害の例】
- 手足が動かなくなる、力が入らない
- 歩行困難や突然の転倒
- 視力低下や失明に近い状態
- 聴覚障害や感覚の麻痺
心気障害
心気障害は、軽微な身体症状に対して過度な不安を抱き、重大な病気ではないかと強く思い込む状態です。身体だけでなく精神的な不調も伴うことが多く、生活の質に大きく影響します。
不安や恐怖が症状を増幅させ、安心感を得るために過剰な受診を繰り返す傾向があります。心理的アプローチが重要となります。
【心気障害の例】
- 軽い頭痛でも重病と感じてしまう
- 検査で異常がなくても不安が消えない
- 医療機関を頻繁に受診する
- 健康状態への過剰な注意と恐怖心が続く
身体表現性障害で仕事を休む場合の正しい対処法

身体表現性障害によって就労が困難になった場合、自己判断で無理を続けるのではなく、医学的根拠と適切な手順に基づいた対応が重要です。ここでは、回復を優先しつつ職場との関係も円滑に保つための具体的な対処法を解説します。
医師に相談する
まず最優先すべきは、専門医による診察を受けることです。医師は症状の程度や背景にあるストレス要因を踏まえ、どの程度の休養が必要か、治療の進め方を具体的に示してくれます。
受診時には、いつからどのような身体症状が出ているのか、仕事上の負担やストレスの内容を正確に伝えることが重要です。就業が困難な状態であれば、休職手続きに必要な診断書の発行も依頼できます。
対面受診に抵抗がある場合は、まずオンラインカウンセリングを活用して専門家とつながり、段階的に対面の医療機関受診へつなげていくことも現実的な選択肢です。
会社にできるだけ早く連絡する
体調不良で出勤が難しい場合は、できる限り早く会社へ連絡することが信頼維持につながります。特に当日欠勤となる場合は、電話で直接伝えることで状況が正確に共有されやすくなります。休む理由は簡潔で構いませんが、可能であれば見込み期間も伝えると職場の調整がしやすくなります。
長期的な休養が必要な場合には、診断書をもとに正式な休職手続きを行い、事前に業務の引き継ぎを進めておくことが重要です。
家族に相談する
休職に入ると収入面の変化が生じる可能性があるため、家族の理解と協力は不可欠です。自身の体調が仕事に影響している現状や、無理を続けることで悪化するリスク、治療と休養の必要性を具体的に説明しましょう。
身体表現性障害は外見からは分かりにくいものの、医学的に裏付けられた症状であり、決して怠慢ではないという認識を家族と共有することが大切です。
仕事から完全に離れる
休養期間中は、心身の回復を最優先とし、仕事から物理的・心理的に距離を置くことが求められます。業務メールや連絡の確認を控え、会社用のデバイスから離れることで、無意識のストレスを軽減できます。
中途半端に関わり続けると回復が遅れるため、休むと決めた期間は治療と休息に専念しましょう。結果として、復職後のパフォーマンス回復にもつながります。
仕事を続けながら症状と向き合うためのポイント

仕事を継続しながら心身の不調と向き合うには、無理をせず自分の状態を客観的に把握し、日常の中で適切な対処を積み重ねることが重要です。ここでは実践しやすい具体的なポイントを解説します。
ストレスマネジメントを行う
ストレスを感じやすい場面を把握し、複数の解消方法を持ちましょう。
例えば、軽い運動や趣味、呼吸法などを組み合わせることで状況に応じた対処が可能になります。
さらに、完璧を求めすぎない意識や物事の捉え方を柔軟にすることで、過度な負担を軽減できます。
ワークライフバランスを見直す
仕事と私生活のバランスを整えることは、症状の安定につながります。
残業を減らしたり、有給休暇を計画的に取得したりすることで、心身を回復させる時間を確保できます。仕事以外の時間を充実させることが、長期的なパフォーマンス維持につながります。
生活習慣を整える
規則正しい生活は心身の基盤とされています。毎日同じ時間に就寝・起床することや、栄養バランスの取れた食事を摂ることは、自律神経の安定に寄与するといわれています。
また、無理のない範囲での運動習慣も、ストレス軽減や睡眠の質向上に効果的です。
リフレッシュタイムを設ける
意識的に仕事から離れる時間を確保することで、心の緊張をリセットできます。
カフェでゆっくり過ごす、自然の中を散歩するなど、自分が心地良いと感じる過ごし方を見つけることが大切です。短時間でも継続すると回復力が高まります。
相談相手をもつ
不安や悩みを一人で抱え込まず、信頼できる人に話すことは大きな支えになります。
家族や友人、職場の同僚に加え、専門家への相談も有効です。言葉にして共有することで気持ちが整理され、適切な対処につながります。
身体表現性障害の方に向いている職場の特徴
身体表現性障害の発症や悪化に関与する要因のひとつとされるストレスに着目し、心身への負担を軽減できる職場環境の特徴について解説します。
仕事とプライベートのバランスが取りやすい職場
残業や長時間勤務、休日出勤が少ない職場は、心身の回復時間を確保しやすく、身体表現性障害の方にとって大きなメリットがあります。
十分な休息や趣味の時間を持つと自律神経が安定しやすくなります。
また、プライベートが充実することでストレスの蓄積が抑えられ、結果として仕事への集中力や持続力も高まります。無理のない働き方が可能な環境は、長期的な就労継続において重要な要素です。
精神的な負荷が低い職場
精神的負担が少ない職場は、症状の安定に直結します。具体的には業務内容がルーティン化されていることや、自分のペースで作業を進められることが挙げられます。
さらに、対人対応が過度に求められない環境や、厳しいノルマが設定されていない職場も適しています。突発的なトラブル対応が少ないことも安心材料となり、予測可能な業務は不安の軽減につながります。このような環境は心理的緊張を抑え、安定した働き方につながります。
人間関係が良好な職場
職場の人間関係はメンタル面に大きな影響を与えます。安心して相談できる上司や同僚がいる環境では、ストレスを一人で抱え込まずに済みます。
柔軟なコミュニケーションが可能で、困難な状況でも支え合える職場は、心身の負担を軽減する重要な要素です。
一方で、ハラスメントが存在する環境や陰口が多い職場、指示が不明確なまま責任を押し付けられるような環境は強いストレス要因となります。
安心して働ける人間関係は、症状の安定と就労継続を支える基盤です。
まとめ
身体表現性障害は、心理的なストレスが身体症状として現れる状態であり、適切な医療的サポートと休養が回復への第一歩となります。仕事を休む際には医師への相談や会社・家族との連携が欠かせず、就労を続ける場合もストレスマネジメントや生活習慣の見直しが重要です。さらに、ワークライフバランスを整え、人間関係が良好な職場を選ぶことで、症状の安定と長期的な就労継続が期待できます。自分の状態に合った働き方を見つけ、無理のないペースで心身の健康を整えていきましょう。
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めぐるファーム編集部
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