精神障害者の雇用は難しい?その理由、雇用を成功させるポイントを詳しく解説

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精神障害者の雇用は「増えてはいるが、実際には難しい」と感じる企業が多いのが現状です。法定雇用率の達成や社会的責任の観点から必要性を感じつつも、定着しない、現場の負担が大きいなどの不安を抱える担当者も少なくありません。

今回は、精神障害者雇用の現状や難しさの理由、そして企業が取り組むべき成功のポイントについて解説します。

精神障害者の雇用の現状

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精神障害者の雇用は、近年増加傾向にありますが、多くの課題も残されています。ここでは、厚生労働省の調査結果を基に、精神障害者の雇用者数、障害の等級や疾病、雇用形態、そして今後の雇用方針について詳しく解説します。

出典:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書

雇用者数

2023年6月時点での民間企業における精神障害者の雇用者数は、推計で約21万5,000人にのぼります。

雇用されている精神障害者のうち、精神障害者保健福祉手帳の等級で最も多いのは「3級」で43.0%を占めます。また、最も多い疾病は「そううつ病(気分障害)」で17.0%です。

比較的軽度の精神障害を持ちながら、気分障害の症状と向き合いつつ働いている人が多いことがうかがえます。

雇用形態と労働時間

精神障害者の雇用形態を見ると、「有期契約の正社員以外」が40.6%と最も多く、次いで「無期契約の正社員」が29.5%となっています。正社員として安定した雇用を得ている人がいる一方で、非正規雇用で働く人が多いのが現状です。

週の所定労働時間については、「通常(30時間以上)」が56.2%と半数以上を占めており、フルタイムに近い形で働く人が多いことがわかります。一方で、「20時間以上30時間未満」も29.3%存在し、短時間勤務のニーズも一定数あることが示されています。

精神障害者の今後の雇用方針

企業の今後の雇用方針を見ると、「積極的に雇用したい」と回答した企業は6.5%にとどまり、「雇用したくない」(23.1%)や「わからない」(53.6%)が多数を占めています。

企業側が精神障害者の雇用に対して、どのように受け入れ、支援していけばよいか戸惑いを感じている現状や、公的な支援がまだ十分ではないという課題があると考えられます。

一方で、精神疾患を有する患者数は年々増加傾向にあり、2017年時点で約419.3万人に達しています。このような状況から、精神障害者の社会参加を促進するためにも、企業における雇用機会のさらなる拡大が社会全体で求められています。

出典:厚生労働省「第13回 地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会・参考資料

精神障害者雇用が難しいといわれる理由

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精神障害者の雇用が難しいとされる背景には、大きく分けて2つの理由があります。ここでは、企業が直面する具体的な課題について詳しく解説します。

職場環境・支援体制の不足による継続雇用の難しさ

精神障害者の雇用において、最も大きな課題となるのが職場環境や支援体制の不足です。

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査によると、精神障害者の1年後の職場定着率は49.3%と、他の障害種別と比較して低い傾向にあります。

退職する要因として「職場の理解不足」「仕事内容と特性のミスマッチ」「定期的な面談などの支援体制が整備されていない」といった点が考えられます。

定期的な面談や相談窓口の設置、産業医との連携といった継続的なフォロー体制が不十分な企業では、問題が発生しても早期に対応できず、結果的に離職につながってしまうのです。

出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者職業総合センター「障害者の就業状況等に関する調査研究

個別対応・合理的配慮の困難さ

精神障害者雇用のもうひとつの大きな課題が、個別対応や合理的配慮の実施に関する困難さです。

精神障害は身体障害や知的障害と異なり、症状の現れ方や程度に非常に大きな個人差があります。同じ診断名であっても、ある人には効果的な配慮が別の人には適さないこともあり、一人ひとりの状態を把握して適切な対応を検討するには、相当な時間と労力が必要となります。

例えば、ストレス要因の特定、業務量の調整、休憩時間の設定、コミュニケーション方法の工夫など、きめ細やかな配慮が求められます。

しかし実際には、人事部門や障害者雇用担当部署からの十分なサポートがなく、現場の管理職や同僚に対応が丸投げされてしまうケースが多く見られます。こうした個別対応の難しさが、企業にとって精神障害者雇用を躊躇させる要因となっているのです。

精神障害者雇用を成功させるポイント

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精神障害者の雇用を成功させるためには、採用から定着まで一貫した取り組みが必要です。ここでは、企業が実践すべき4つのポイントについて詳しく解説します。

採用選考を丁寧に行う

まず重要なのは、自社でどのような人材を採用したいのかを明確化することです。求める人物像や業務内容、必要なスキルを具体的に定義することで、ミスマッチを防ぐことができます。

その上で、採用選考の間に以下の施策を進めることが理想的です。

  • 職場見学や実習の機会を設ける
    実際の職場環境を体験してもらうことで、応募者自身が自分に合った職場かどうかを判断でき、企業側も働きぶりを確認できます。
  • 配属予定の現場とのすり合わせ
    人事部門だけで採用を決めるのではなく、実際に一緒に働く上司や同僚の意見を聞き、受け入れ体制が整っているかを確認します。
  • 個々の精神障害者の特性を丁寧に把握し理解する
    障害の種類や症状の程度、得意なこと・苦手なこと、必要な配慮事項などを面接や書類を通じて確認します。得られた情報は、入社後のサポート計画に活かしましょう。

受け入れ先現場を支援する

人事部門から現場任せにするのではなく、障害者雇用の意義や企業にとってのメリットを共有し、管理職が前向きに取り組める環境を作りましょう。同時に、上司や同僚への啓発研修を実施し、精神障害の特性や適切なコミュニケーション方法、配慮のポイントなどを学ぶ機会を設けることが効果的です。

さらに、トラブルを未然に防ぐために、障害者と会社が雇用管理上のルールや合理的配慮をあらかじめ書面で取り決めておくことも有効です。例えば、勤務時間や休憩の取り方、業務内容、体調不良時の対応方法などを明文化し、双方が納得した上で署名します。

問題が発生した際の対処方法も文書化しておくことで、現場の担当者が迷わず適切に対応でき、トラブルの拡大を防ぐことができます。

定期的に個人面談をする

精神障害者の職場定着には、定期的な個人面談による継続的なフォローが不可欠です。

精神障害の症状は、少しの環境の変化やストレスで変化しやすい特徴があります。本人が無理をしていても周囲が気づかなかったり、本人が遠慮して周りに相談できなかったりする状況が続くと、症状が悪化し、最終的には退職につながるケースも少なくありません。

こうした事態を防ぐため、月に1回程度の定期的な個人面談を実施し、体調面、仕事量、働き方に問題がないかを丁寧に確認することが重要です。

また、面談記録を残しておくことで、長期的な状態の変化を把握し、より適切なサポートにつなげることができます。

行政・専門機関と連携する

障害者雇用については、ハローワークや障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所といった行政や専門機関による支援が充実しています。積極的に外部からのサポートを受けることで、最新の情報を集め、自社にノウハウを蓄積していくことができます。

また、障害者雇用の受け入れ自体に不安がある企業では、障害者雇用支援サービスを利用するのもひとつの有効な手段です。専門スタッフによる手厚いサポート体制のもとで障害者が働く環境が整っており、企業は法定雇用率を達成しながら、段階的に自社での受け入れノウハウを学ぶこともできます。

農園型の雇用支援に関心をおもちの担当者様は、ぜひ「障害者雇用めぐるファーム」へご相談ください。障害者の方が長く働ける環境を提供しており、半年定着率は93.8%※(を達成しております。

※厚生労働省が指標としている「就職後6ヶ月定着率」の算出方法に準拠。当農園をご利用の企業様が雇用する障害者クルーのうち、算出時点で入社から6ヶ月が経過しているスタッフを対象に計算。(2026年3月12日時点、自社調べ)

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まとめ

精神障害者雇用が難しいといわれる理由は、職場の理解不足や支援体制の未整備、個別対応の難しさにあります。一方で、採用段階での丁寧なすり合わせ、現場への支援、定期面談、行政や専門機関との連携を行うことで、定着率を高めることは十分に可能です。精神障害者雇用を特別なものと捉えるのではなく、仕組みづくりとして向き合うことが重要です。自社に合った方法を検討し、無理のない形で一歩ずつ取り組んでいきましょう。

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めぐるファーム編集部

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