編集日:2026.04.22
公開日:2026.04.22
障害者雇用は手帳なしで応募できる?申請の流れや支援制度・機関を解説
障害者雇用は手帳なしでは原則応募できません。企業の法定雇用率に算入されるのは身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所持者に限られるためです。しかし、手帳がなくても利用できる支援制度や働き方の選択肢はあります。手帳を所持すべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、障害者雇用と手帳の関係、申請の流れや活用できる支援制度について解説します。
障害者雇用は手帳なしでも応募できる?

障害者雇用枠に応募できるのは、原則として各種障害者手帳を所持している方のみです。
企業は、法定雇用率の対象となる方を雇用する義務がありますが、手帳を持たない場合は法定雇用率にカウントできません。そのため、障害者雇用枠としての応募は認められないのが一般的です。
対象となるのは、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳のいずれかを所持している方です。
出典:厚生労働省「事業主の方へ|障害者雇用のルール」
障害者手帳の種類と申請の流れ

障害者手帳の種類と、それぞれの申請方法や必要書類についてわかりやすく解説します。
身体障害者手帳
身体障害者手帳は、身体に一定以上の障害があると認定された方に交付され、原則として1級から6級までが対象です(※7級の基準もあるが単独では交付対象外)。申請条件などは、以下の通りです。
- 申請条件:身体に一定以上の障害があると認定された方
- 申請窓口:市町村の福祉担当窓口
- 必要書類:申請書・診断書・本人の写真・マイナンバー確認書類
申請方法
身体障害者手帳の具体的な申請方法は、以下の通りです。
①市町村の福祉担当窓口で申請書を受け取ります。
②申請書・診断書・本人写真・マイナンバー確認書類を提出します。
交付までの目安は約1か月です。
なお、診断書は都道府県知事の指定医が作成したものに限られます。
療育手帳
療育手帳は、知的障害があると判定された方を対象とする手帳です。自治体によっては「愛の手帳」など名称が異なります。申請条件などは、以下の通りです。
- 申請条件:判定機関により知的障害があると判定された方
- 申請窓口:市町村の福祉担当窓口
- 必要書類:申請書・本人写真・マイナンバー確認書類・印鑑(母子手帳など)
申請方法
療育手帳は、以下の手順で申請します。申請後に判定を受けてから交付され、期間の目安は約2か月です。
①市町村の福祉担当窓口で申請書を受け取り、必要書類とともに提出します。
②18歳以上は知的障害者更生相談所、18歳未満は児童相談所で判定が行われます。
精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は、精神障害があることを認定する手帳で、障害の程度に応じて1級から3級に区分されます。申請条件などは、以下の通りです。
- 申請窓口:市町村の福祉担当窓口
- 必要書類:申請書・診断書・本人写真・マイナンバー確認書類
申請方法
精神障害者保健福祉手帳は、以下の手順で申請します。
①市町村の福祉担当窓口で申請書を受け取ります。
②必要書類を揃えて窓口へ提出します。
交付の目安は約2か月です。
なお、診断書は初診日から6か月経過後に作成されたもので、かつ申請日から3か月以内のものが必要です。
診断書は、精神保健指定医またはかかりつけの精神科医が作成します。ただし、状況によっては他科の医師が作成できる場合もあります。
また、障害年金等の受給を証明する書類の写しでも代用できる場合があります。
障害を持つ方が働く際の選択肢

障害のある方が働く際には、障害を開示するかどうかによって大きく3つの働き方があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを紹介します。
オープン就労
オープン就労とは、障害者手帳などを提示し、企業に障害特性や必要な配慮を伝えた上で働く形態です。一般的には障害者雇用枠での採用となります。オープン就労で働くメリット、デメリットは以下の通りです。
メリット
- 合理的配慮を受けられる。
- 障害への理解がある環境で、長期的に定着しやすい。
- 相談窓口が整備されている場合が多く、体調変化に対応してもらいやすい。
デメリット
- クローズ就労に比べ、求人数や職種が限られることがある。
- 一般枠より給与水準が見受けられることがある。
- 職場の人に障害を知られることになる。
クローズ就労
クローズ就労は、障害を開示せず、一般社員と同じ一般枠で働く形態です。クローズ就労で働くメリット、デメリットは以下の通りです。
メリット
- 一般枠のため求人が多く、職種の選択肢が広い。
- 給与やキャリア面で高い待遇を得られる可能性がある。
- 周囲に障害を知られずに働ける。
デメリット
- 必要な配慮やサポートを受けにくい。
- 通院や体調不良への調整が難しい。
- 長期的な定着率が低く見受けられることがある。
セミオープン就労
セミオープン就労は、採用担当者や上司など一部の人のみに障害を伝え、情報開示の範囲を限定して働く方法です。オープンとクローズの中間的な働き方といえます。セミオープン就労で働くメリット、デメリットは以下の通りです。
メリット
- 必要最低限の配慮を受けながら、一般枠に近い形で働ける。
デメリット
- 開示範囲が限られるため、十分なサポートを受けられない場合がある。
- この働き方に対応している企業が見つかりにくい。
障害者手帳なしでの労働をサポートする支援制度・機関
障害者手帳がなくても、医師の診断書や通院記録、自治体の判断があれば利用できる就労支援制度は複数あります。
ここでは、精神障害や発達障害、身体障害など、働きづらさを抱えている方が活用できる主な機関・制度を紹介します。
就労移行支援
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す方に対し、ビジネスマナーや職業スキルの習得、面接対策などを行う通所型サービスです。医師の診断書があれば、手帳がなくても利用できる場合があります。
就労定着支援
就労定着支援は、就職後も安定して働き続けられるよう、職場での困りごとや人間関係の悩みを相談できる福祉サービスです。支援員が企業と本人の間に入り、調整を行います。
障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターとは、就職活動から日常生活の悩みまで、働くことと生活の両面を総合的にサポートする公的な相談機関です。
手帳の有無にかかわらず、働きたいと考えている障害のある方が対象です。
地域障害者職業センター
地域障害者職業センターとは、障害のある方の就職・職場定着を支援するために各都道府県に設置された、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営する専門機関です。
ハローワークと連携し、職業リハビリテーションや職業評価を実施しています。診断書があれば、手帳がなくても利用できる場合があります。
ハローワーク
ハローワーク(公共職業安定所)とは、厚生労働省が運営する国の就職支援機関で、求人情報の提供から応募書類の添削、職業相談・紹介まで幅広いサービスを無料で提供しています。
障害者手帳がなくても、精神障害や発達障害の傾向がある場合は専門担当者に相談できます。
就労継続支援A型・B型事業所
就労継続支援とは、一般就労が難しい障害のある方が、就労訓練を受けながら働くことができる福祉サービスです。
A型は雇用契約を結んで働く形、B型は契約を結ばず体調に合わせて働く形です。主治医の意見書や自立支援医療受給者証があれば、利用できる可能性があります。
まとめ
障害者雇用枠で働くには原則として手帳が必要ですが、手帳がなくても利用できる支援制度や働き方はあります。大切なのは、自分の特性や体調に合った方法を選ぶことです。制度や支援機関を上手に活用しながら、無理のない就労の形を見つけていきましょう。
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著者プロフィール
めぐるファーム編集部
障害者の雇用が少しでも促進されるよう、企業担当者が抱いている悩みや課題が解決できるようなコンテンツを、社内労務チームの協力も得ながら提供しています。