障害者雇用に向き合う志高い企業にとって社会課題解決のパートナーでありたい

この記事をシェアする

  • x
  • facebook
障害者雇用に向き合う志高い企業にとって社会課題解決のパートナーでありたい ~「経済性」×「社会性」の先に見える企業としての存在価値~

2007年6月、北の大地、北海道で産声を上げ、一般消費者向け通信サービス事業で地歩を固めてきた NEXT ONE。2015年には東京・渋谷に本社を移し、2019年には電力小売業界に参入、培ってきた営業力を武器に大きく躍進を遂げてきた。その同社が今、新たな事業の柱として力を入れているのが、「スマート農園型障害者雇用支援事業」である。この新たなチャレンジには、どのような「想い」が込められているのか。そこで描く事業成長ビジョンとは、どういったものか。同事業を統括する取締役事業統括本部長の鳥羽氏に、事業の詳細とともに聞いた。

interviewee

株式会社NEXT ONE
取締役 事業統括本部長
鳥羽 保秀(とば やすひで)

「社会課題の解決に資する事業を立ち上げたい」

──まずはNEXT ONEの事業内容を教えてください。

 当社は2007年6月に北海道で創業しており、19期目を迎えています。創業直後は、インターネット回線やウォーターサーバーといった一般消費者向け商材の販売を主力としてきましたが、その後、本社を東京へ移し、2019年からはライセンスを取得して小売電力事業に参入したことで事業が拡大し、いまや主力事業へと成長しています。それまで培った強い営業力を背景に、約7万5000の需要家を抱えるまでに事業を伸ばすことができ、直近2025年5月期の売上高は約91億円を記録しています。

――そうした成長の一方で、NEXT ONEでは現在、「スマート農園型障害者雇用支援事業」に力を入れていますね。この新しい事業を立ち上げた理由は何だったのでしょう。

 小売電力事業が拡大を続け、IPOが視野にはいってきた2023年当時、社内では新しい事業の柱を築く必要性が議論されるようになりました。その際、代表の斉藤が打ち出したのが、「社会課題の解決に資する事業を立ち上げたい」という理想でした。

 主力事業として展開している小売電力というのは、競合との差別化が難しい商材であり、いわば「色のないサービス」とも言えます。それだけに、新たな事業を通じて、当社だからこそ提供できる「価値」を追求し、社会に存在意義を示したいと考えるようになったのです。ビジネスにおいて「経済性」だけでなく、「社会性」をも求めていく。
この理想のもとでたどり着いたのが、「スマート農園型障害者雇用支援事業」でした。当社が事業リサーチの過程で幅広く社会課題を調査するなかで浮き彫りになったのは、課題が山積している障害者雇用支援業界の現状だったのです。

事業について語る(株)NEXT ONE鳥羽 保秀氏の写真

「即戦力として活躍できていない」という障害者の根本的な実態

――詳しく聞かせてください。

 じつは障害者の雇用は、なかなか進んでいないのが実態です。法定雇用率を満たしている企業は半数にも届いておらず、厚生労働省による※1最新のデータ(2026年3月時点)では46%という水準にとどまっています。その背景には、2024年4月に法定雇用率が2.3%から2.5%に引き上げられた影響も考えられますが、厚生労働省では2026年7月からさらに2.7%へ引き上げることを決めています。一方で、※2内閣府の統計によると、日本の障害者数は年々増えており、特に精神障害を患う方々は急速に増加している実態もあります。需要ギャップの拡大は容易に想像でき、企業の達成率はさらに減少することが予想できます。

──そもそも、障害者雇用が進まない原因はどこにあるとお考えですか。

「障害者の方々が企業の労働現場で即戦力として活躍できていない」という根本的な実態が変わっていないのが原因だと考えます。障害者の能力や特性に見合った雇用を、企業の現場で生み出すことはとても難しいことです。そのため、企業のみなさんは雇用に積極的になれず、障害者の方々も仕事にやりがいを感じられず雇用の定着につながらないのです。この実態が変わらなければ、いくら法定雇用率を引き上げても抜本的な解決策にはならず、理想と現実のギャップはさらに広がっていくばかりです。当社が、農園型障害者雇用に着目した理由は、まさにここにあります。

めぐるファームの外観と内観の写真
めぐるファームの外観と内観の写真

業界慣習を撤廃した革新的な事業モデル「スマート農園型障害者雇用支援事業」

──農園型障害者雇用とは、どのような仕組みですか。

企業が、障害者と管理者で構成される「ユニット」の雇用主となり、そのユニットが農園にて農作業に従事します。当社のような農園事業者はユニットの支援を行いながら、企業が農園利用料や設備リースといった月額費用を支払うことで、障害者雇用を実現する仕組みです。農作業は、障害者それぞれが能力や特性を活かして貴重な戦力として活躍でき、農作物の日々の成長や収穫、市場への流通から喜びを得られる仕事でもあります。さらに当社が展開する「スマート農園型障害者雇用支援事業」は、これまでの業界にはない、いくつもの特徴を持っています。

 最大の特徴は、運営する農園『めぐるファーム』が障害者の方々の働きやすさを考慮した設備環境を実現していることです。農園は、開放感のある屋外型のビニールハウスで、軒高は3mほどを確保しています。限られた土地を有効活用できるよう、土耕栽培ではなく、積層式の栽培棚を用いた清潔なポッド栽培を導入しており、一般的な屋外農園の「開放感」と屋内農園の「清潔感」を両立した、いわば理想的な環境をめざしています。ビニールハウスで指摘される夏場の過酷な作業に対しては、ヒートポンプ空調や空気を循環させるサーキュレーターを設置することで、快適な作業環境を生み出しています。この農園は、通いやすさも考え、働く障害者の方々の居住域に近い川崎市内という都市部に立地しているのも大きな特徴です。

──スマート農園には、多額の投資が行われているのですね。

 はい。インフラ事業の厚い顧客基盤を背景に、安定した財務体質を誇る当社だからこそできる事業だと思っています。事業継続のための収益性確保は前提ですが、障害者雇用の課題解決が事業の重要なミッションである以上、雇用の定着を図るための環境整備は必要不可欠な投資と考えています。1棟目がまもなく定員を迎えるため、現在2棟目を建設中ですが、ここでは遮光率の高い新たなビニール素材を採用するなど、常に最新の技術成果を導入しているように、今後も設備投資は惜しみません。なぜなら我々は、これを設備投資というより、本質的には「人への投資」にほかならないと思っているからです。

 『めぐるファーム』には障害者雇用に長年従事し、経験豊富な農園長を始め、看護師や精神保健福祉士といった国家資格を有する専門スタッフが常駐し、働く障害者の方々への手厚いサポートを大切にしている点も、ぜひお伝えしたいですね。

──直接の雇用となる企業のみなさんにとっても心強いですね。

 そう思います。当社の事業を活用していただく企業のみなさんには、柔軟でシンプルな料金体系の面でもサポートしています。従来、農園型障害者雇用を活用する際の障壁となっていた高額で長期のリース契約や、数名のユニット単位でしか結べない契約形態といった業界慣習を撤廃し、1名ずつから柔軟に増員でき、企業のみなさんがリーズナブルに活用しやすい料金体系を設定しています。

めぐるファームの前で集合するスタッフの写真

問われている命題は「いかに障害者の活躍の場を広げるか」

――今後の事業ビジョンを聞かせてください。

 この事業の持続可能性を高めていくには今後、「収穫物の流通」を強化することが重要で、そこでのポイントは「収穫量の安定性」と「収穫物の単価」の2つだと思っています。前者については、農園の多面的な展開がカギだと考えており、今後2拠点目、3拠点目の開発、ひいては47都道府県に1つずつ立地していく将来像も描いています。また後者については現在、流通が冬場に限られるイチゴに着目し、夏場にも生産できる高単価の品種とその栽培技術を千葉大学と共同開発に乗り出しています。

 こうした取り組みの先に我々がチャレンジしたいのは、働く障害者の方々が職場での経験をもとにスキルアップを果たし、いかに社会での活躍の場を広げていくかという難しい命題です。それは障害者雇用に携わる関係者すべてに問われている命題にほかなりません。『めぐるファーム』では、農作業の基本から始め、次第により複雑な作業へとステップアップし、ゆくゆくは農園のマネジメントへの道も開かれていますが、この命題の前には、「農園型」も1つの切り口にすぎないと思っています。「農園型」でのスキルアップを、ゆくゆくサテライトオフィスなどでの企業勤務の道につなげるキャリアパスも用意したいと考えており、将来的に「農園型」に続く、「サテライトオフィス型」の新しい事業モデルも描いているところです。

――「雇用機会の創出」に向けて、多角的に取り組んでいくのですね。

 そこに力を入れていくことは間違いありません。ただし、障害者雇用促進をめぐる課題は、決して「雇用機会の不足」だけではありません。たとえば、雇用主と求職者とを結ぶ「情報流通の整備」、そして求職者が職にたどり着くまでの「プロセスの整備」も解決が急がれる課題です。健常者の人材市場とは異なり、求職サイトのような情報源が整備されていないため、障害者の方々が自分の能力や特性を活かした就業先にたどり着くことが難しいのが現状です。また、その原因にもなるわけですが、そもそも個々の障害者の特性、スキルセットを可視化、言語化すること自体が難しいという根本的な問題があります。過去の職歴や経験だけでは、その障害者の能力や特性を測れないことが多く、これこそが障害者雇用特有の難しさでもあるのです。これらの課題を解決するためにも、専門機関や専門事業者とも連携を図りながら、障害者個々の特性や潜在的な能力を可視化できる、ある種の「能力検定」のような仕組みを整備することも必要だと考えています。

 とはいえ、一企業でできることには限界があります。ですから、障害者雇用促進というこの重要な社会課題に向き合う志高いクライアント企業のみなさんとともに、この課題を解決していくパートナーでありたいと我々は願っているのです。事業を通じて実現したいのは、障害を抱えるみなさんが経済活動に参画し、社会の中核を担える存在として活躍できる世界です。※3内閣府(2026年3月時点)によると日本の障害者総数はいまや約1,160万人と、全人口の約9.2%に相当し、もはやマイノリティとはいえない存在です。これらの人々がいきいきと活躍できる社会こそ、「持続可能な社会」にほかならないと信じています。当社は、パートナー企業のみなさんと一緒に、この将来につながる理想の社会づくりに力を尽くしていきます。

※1:厚生労働省「令和7年障害者雇用状況の集計結果」
リンク:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67490.html

※2:内閣府「令和6年版障害者白書」
リンク:https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/r06hakusho/zenbun/index-pdf.html

※3:内閣府「令和6年版障害者白書」
リンク:https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/r06hakusho/zenbun/index-pdf.html

(株)NEXT ONEのオフィス内で撮影された鳥羽 保秀氏の写真

まずはお気軽にご相談ください。

提案書・見学・導入のご質問まで、専任スタッフが丁寧にご対応します。

「障害者雇用めぐるメディア」 は、株式会社NEXT ONEが運営する障害者雇用支援事業のメディアサイトです。
働くことは、誰かの役に立つこと。そして、自分自身を誇りに思うこと。
私たちは、障害のある方が自分らしく働ける環境を広げ、
雇用を支える企業や支援者とともに、持続可能な社会の実現を目指します。
このメディアでは、支援の現場、当事者の声、そして雇用のヒントを発信し、
すべての「はたらく」にあたたかいつながりを届けていきます。

Support work. Grow together.