障害者雇用で新卒採用をするメリットは?採用の流れと注意点も解説

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障害者雇用における新卒採用は、法定雇用率の引き上げやダイバーシティ推進の流れを受けて注目が高まっています。中途採用市場では即戦力人材の確保が難しい一方、自社のカルチャーに合わせて育成できる新卒採用への期待が高まっています。では、どのようなメリットや課題があるのでしょうか。

今回は、障害者雇用における新卒採用のメリット・デメリットから具体的な採用の流れ、注意点まで詳しく解説します。

障害者雇用における新卒採用の動向

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障害者雇用における新卒採用は、法定雇用率の引き上げや企業のダイバーシティ推進を背景に注目が集まっています。特に精神障害者を中心とした雇用数の増加傾向が見られる一方で、企業の採用ニーズとしては依然として身体障害者への需要が高い状況が続いています。

法定雇用率の引き上げに伴い需要が高まっている

法定雇用率は2024年4月に2.5%へ引き上げられ、2026年7月には2.7%へ引き上げられることが決定されています。

この制度変更により、これまで障害者雇用の義務がなかった企業や、すでに法定雇用率を達成していた企業も、新たに障害者を雇用する必要性に迫られています。

中途採用市場では即戦力となる人材への需要が高く、障害者雇用枠でも採用が難しい状況が続いています。

そのため、企業が自社のカルチャーに合わせて育成できる新卒採用に注目が集まっています。法改正を契機として、障害者の新卒採用に取り組む企業が増加傾向にあります。

出典:厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について

精神障害者の雇用数増加

厚生労働省が2025年6月1日時点を対象に実施した調査によると、民間企業における精神障害者の雇用者数は16万8,542人で、前年より11.8%増加しました。身体障害者の1.3%増、知的障害者の2.8%増と比較すると、精神障害者の伸び率が際立っています。

発達障害に対する社会的認知の広がりや、家族や周囲の理解が進んだことで、障害者雇用枠での就職を選択する精神障害のある学生が増えています。今後も精神障害者の新卒採用は活発化すると予想されます。

出典:厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果

身体障害者ニーズも依然高い

2025年6月1日時点で雇用されている障害者数70万4,610人のうち、身体障害者は37万3,914人で全体の53.1%を占めています。

企業が身体障害者の採用を重視する背景には、身体的なハンディキャップが業務に与える影響が比較的限定的である点があげられます。特にデスクワーク中心の職種では、適切な配慮を行うことで障害のない人と同等のパフォーマンスを発揮できる可能性が高いと考えられています。

出典:厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果

障害者雇用で新卒採用をするメリット

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障害者雇用において新卒採用を進めることで、企業には多くのメリットがあります。

帰属意識を高めやすい

新卒で入社する社員は他社での就業経験がないため、自社の文化や価値観を深く理解しやすい特徴があります。企業の方針や業務の進め方を柔軟に受け入れられることから、会社や職場への帰属意識を高められます。

中途採用の場合、前職での考え方や仕事の進め方に固執し、新しい職場の文化になじめないケースがあります。適応できないと不満が蓄積し、早期退職につながる可能性も高まります。

また、新卒採用では同期との絆も生まれやすく、職場での人間関係が構築しやすい環境が整います。同期とのつながりは職場定着において重要な要素となり、長期的な雇用につながる大きな要因となります。

計画的な育成ができる

新卒採用では内定から入社までの期間が長く、新入社員研修も一斉に実施できるため、人事部や採用担当者の負担を軽減できます。障害特性に合わせた合理的配慮や育成プログラムを、余裕を持って準備・導入できる点が大きなメリットです。

また、選考や研修、人材育成のスケジュールを立てやすいことから、個別対応が必要な中途採用と比較して、入社準備や研修の計画を効率的に進められます。

計画的な育成体制を整えることで、本人が安心して業務に取り組める環境を提供でき、早期戦力化への道筋を明確にできます。

組織の多様性が向上する

障害者雇用を積極的に進めることは、法定雇用率の達成だけでなく、多様な人材が活躍する組織づくりにつながります。

ダイバーシティを推進する姿勢は企業イメージの向上にも貢献し、顧客や投資家などのステークホルダーに対して社会的責任を果たしている姿勢をアピールできます。

また、障害者雇用に関する助成金制度を活用することで、採用や雇用管理にかかるコストの一部を補助してもらえる可能性もあります。

多様性を受け入れる文化を醸成することで、すべての社員が働きやすい環境が整い、組織全体の生産性向上にもつながります。

障害者雇用で新卒採用をするデメリット

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障害者雇用における新卒採用にはメリットがある一方で、企業が理解しておくべき課題も存在します。これらを事前に把握し、適切な対策を講じることで、障害のある方にとって働きやすい環境を整備することにつながります。

育成に時間がかかる

新卒で採用した方は、業務に必要な知識やスキルを段階的に身につけていく必要があり、即戦力としての活躍までに一定の育成期間を要します。そのため、社会人としての基本的なビジネスマナーから業務理解まで、計画的な教育体制が求められます。

さらに、障害特性に応じた個別の配慮やサポートも必要となることから、一般的な新卒社員の育成と比べて、より丁寧で時間をかけた対応が求められる場合があります。

専門的な業務を任せられるまでには時間がかかるため、育成期間を含めた先行投資を前提に、長期的な視点で人材育成に取り組む必要があります。

早期退職のリスクがある

新卒の方は職務経験が少ないため、実際の業務において自身の障害特性がどのような影響を及ぼすのかを、事前にイメージしにくい場合があります。また、就業中にストレスを感じた際の対処法や必要な配慮についても、入社後に少しずつ理解を深めていくケースが多く見られます。

こうした背景から、環境や業務内容が合わず、早期退職につながる可能性があります。早期退職が発生すると、採用にかけたコストや育成に費やした時間を十分に活かせず、企業にとっては大きな損失となります。

そのため、入社前の実習の実施や、丁寧なマッチングを行うことが重要です。

定着支援の負担が大きい

新卒の方が職場に定着するためには、個々の障害特性に応じた継続的な配慮と、適切なサポート体制の構築が欠かせません。定期的な面談や日常的な声かけを通じて困りごとを把握し、孤立感を抱いていないかを確認することが重要です。

一方で、同期社員と比較されることにより、不安やプレッシャーを感じるケースも少なくありません。周囲の社員が障害特性への理解を十分に持っていない場合、人間関係の悪化や業務遂行への支障につながる可能性があります。

そのため、支援機関との連携や社内での理解促進研修の実施など、企業側には継続的な取り組みが求められます。人事担当者や配属先の上司は、通常業務と並行してフォローアップを行う必要があり、そのための時間や体制の確保が課題となります。

障害者雇用で新卒採用する際の流れ

障害者雇用において新卒採用を進める際には、一般的な新卒採用とは異なる配慮や事前準備が求められます。ここでは、障害者雇用で新卒採用する際の流れについて紹介します。

1. 準備・計画

障害者雇用における新卒採用では、採用活動を開始する前の準備段階が特に重要です。

まず、新卒社員に任せる具体的な業務内容を整理し、既存業務の中から切り出しを行います。障害特性に応じて業務の分担や手順を工夫することで、無理のない業務遂行が可能になります。

あわせて、受け入れ体制の整備も欠かせません。バリアフリー化や必要な設備の導入といった合理的配慮に加え、配属先社員に向けた障害理解研修など、ソフト面での準備も事前に行っておく必要があります。

また、2026年7月には法定雇用率が2.7%に引き上げられるため、それを見据えた採用人数の検討と目標設定が求められます。法定雇用率の達成だけでなく、長期的な人材育成の視点から採用計画を立てることが重要です。

2. 募集活動

障害者雇用における新卒採用では、大学新卒採用のような一律の解禁スケジュールはなく、採用ルートによって活動時期が異なります。

大卒・短大卒の障害のある学生を対象とする場合は3月1日の採用広報解禁が目安となりますが、特別支援学校の生徒を対象とする場合は、7月のハローワーク求人票提出を起点とする高卒採用スケジュールに準じます。

また、特別支援学校採用では選考に先立ち現場実習の実施が一般的であり、学校との信頼関係を前年度から築いておくことが採用成功の鍵となります。

3. 選考プロセス

書類選考や面接では、障害特性や必要な配慮、体調管理の状況などについて丁寧に確認します。応募者が安心して自身の状況を説明できるよう、配慮ある雰囲気づくりを心がけることが重要です。

大卒・短大卒ルートでは、数日から1週間程度の職場実習(インターンシップ)を選考の一環または内定前後に実施する企業が多くあります。

一方、特別支援学校ルートでは、実習は選考に先立って行われるのが一般的であり、実習の結果をふまえて選考に進む流れとなります。

いずれの場合も、実際の業務への適性や職場環境との相性を相互に確認できるため、入社後のミスマッチを防ぐ有効な手段です。

実習を通じて、企業側も必要な配慮を具体的に把握できます。

4. 内定・入社準備

10月1日以降、正式な内定通知を出します。内定から入社までの期間は、卒業まで定期的な面談を実施し、入社後の配慮内容について具体的なすり合わせを進めます。

この期間に、配属先や担当業務、勤務時間、通院への配慮など、労働条件を双方で確認しておくことで、入社後の不安を軽減できます。こうした丁寧な入社前フォローが、スムーズな職場定着につながります。

5. 入社・定着支援

入社後は、ジョブコーチの活用や現場責任者との定期面談などを通じて、継続的な定着支援を行います。特に入社直後は、週1回程度の面談を実施し、業務内容や職場環境への適応状況を確認します。

また、困りごとや必要な配慮の変化に柔軟に対応できる体制を整えることも重要です。定着支援は入社後数か月で終わらせるのではなく、長期的な視点で継続していく必要があります。

障害者雇用で新卒採用をする際の注意点

障害者雇用における新卒採用を成功させるためには、いくつか注意点を押さえる必要があります。

「障害」ではなく「人」を見る

採用選考で最も重要なのは、弱点を探すことではなく、「自社でどのように活躍できるか」という視点です。障害の有無にとらわれず、長所や適性に目を向け、一般枠の採用と同様に一人の人材として理解しようとする姿勢が求められます。

その際、障害特性と業務遂行能力を切り離すのではなく、両者を適切に結びつけて評価することが大切です。抽象的なやり取りに終始するのではなく、学生生活やこれまでの経験について具体的なエピソードを聞き取ることで、実際の能力や強みを把握しやすくなります。

大学での研究活動やアルバイト、サークル活動などを通じて、本人の得意分野や働き方の特徴を見極めることができます。

障害があることを前提としながらも、その人が持つ可能性や成長力に注目することで、企業にとって本当に必要な人材と出会うことができます。

合理的配慮に関して率直に対話する

合理的配慮を検討する際は、障害名だけで判断するのではなく、症状の経過や服薬・通院状況、業務上で想定される具体的な困難さについて丁寧に確認します。その上で、企業側が提供できる配慮の範囲を明確にし、双方が納得できる形を探ることが重要です。

入社前に具体的なすり合わせを行うことで、入社後のギャップを減らせます。「どのような場面で困りやすいか」「どのようなサポートがあれば業務を遂行できるか」といった点を率直に話し合える関係性を築くことが、長期的な定着につながります。

率直に確認し合う姿勢が、結果的に企業と本人の双方にとって良い結果をもたらします。

ミスマッチを防ぐための情報提供をする

ミスマッチを防ぐためには、求める人物像や業務内容、配属先の環境、既存の障害者社員の状況などを具体的に伝えることが重要です。応募者が自社で働く姿を具体的にイメージできるよう、実際の業務の流れや職場の雰囲気についても丁寧に説明します。

あわせて、職場見学の機会を設け、業務環境を直接確認してもらうと効果的です。オフィスのバリアフリー状況や通勤経路、休憩スペースなどを自分の目で確認することで、入社後のミスマッチを大きく減らすことができます。

また、すでに働いている障害のある社員と交流できる場を設けることも、応募者にとって有益な情報提供となります。

まとめ

障害者雇用における新卒採用は、帰属意識の醸成や計画的な育成、組織の多様性向上など多くのメリットがある一方で、育成に時間がかかることや早期退職のリスクといった課題も存在します。成功の鍵は、事前の準備段階から受け入れ体制を整え、「障害」ではなく「人」を見る姿勢で採用活動を進めることです。

合理的配慮については、入社前から率直な対話を重ねることが重要です。あわせて、職場見学や実習を通じて実際の業務や環境を相互に確認し、ミスマッチを防ぐ取り組みも欠かせません。法定雇用率の段階的引き上げを見据え、長期的な視点で障害者の新卒採用に取り組んでいきましょう。

一方で、育成や定着支援、受け入れ体制の構築にハードルを感じる企業も少なくありません。自社で十分な体制を整えるのが難しい場合は、障害者雇用支援サービスを活用するのもひとつの手です。

農園型障害者雇用「めぐるファーム」では、常駐スタッフによる支援体制のもと、企業と障害のある方の双方が安心して向き合える環境を提供しています。長期的な雇用につながる形で、障害者雇用を進めましょう。

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