躁うつの周期はどのくらい? 双極性障害のきっかけと安定させるために必要なことを解説

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双極性障害(躁うつ病)は、気分が高揚する「躁状態」と、気分が落ち込む「うつ状態」を繰り返す精神疾患です。躁うつの周期や症状の現れ方は人によって異なり、「この状態はいつまで続くのだろう」「どんなときに症状が出やすいのか」と不安を感じることも多いでしょう。

今回は、躁うつの基本的な周期や気分が切り替わるきっかけ、周期を安定させるために意識したいポイントを解説します。

躁うつ(双極性障害)で現れる4つの状態

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躁うつ(双極性障害)では、躁状態、軽躁状態、うつ状態、混合状態の4つの状態が見られます。

躁状態

躁状態では、気分が異常に高揚し、行動が活発になります。本人は「絶好調」と感じていても自制が効かず、トラブルを招くこともあります。

例えば、必要のないものを大量に買ったり、高額な買い物や無謀な投資に手を出したりしてしまうことがあります。

また、会社で突然上司に強く意見する、怒鳴るなど、普段と違う行動が目立つようになることも少なくありません。昼夜を問わず家族や友人に電話をかけ続ける、見知らぬ人と性的関係を持ってしまうなど、衝動的な行動が増えるのも特徴です。

なお、双極性障害には、躁状態とうつ状態を繰り返す「双極性Ⅰ型」と、軽躁状態とうつ状態を繰り返す「双極性Ⅱ型」があります。

なかでも双極性Ⅰ型は、躁状態が1週間以上続くこともあり、社会生活や人間関係に大きな影響を及ぼす場合があります。

軽躁状態

軽躁状態は、躁状態ほど強い気分の高揚は見られませんが、エネルギーが満ちていると感じる状態です。本人は「今日は調子がいい」と感じる程度で、周囲には気づかれにくいのが特徴です。

軽躁状態のときは、仕事や人づき合いが活発になり、成果を上げたり、周囲に魅力的に映ったりすることがあります。軽躁状態は症状が軽く、数日程度で終わるため、他の気分障害との見分けが難しいこともあります。

うつ状態

うつ状態では、気分が落ち込み、物事への興味や喜びを感じられなくなります。双極性障害の中でも、苦しさを強く感じるのはこの時期であり、うつ病と類似した症状が見られます。躁状態に比べて、うつ状態は長引きやすく、治療を受けずに放置すると半年以上続くこともあります。

主な症状としては、何をしても楽しめず、すぐに疲労を感じるなどの症状があげられます。ほかにも、食欲の減退や過食、不眠や過眠などの睡眠障害、思考力の低下なども見られます。

また、自分を過剰に責めたり、無価値だと感じたりすることも多く、深刻な場合は繰り返し死について考えてしまうこともあります。

混合状態

混合状態は、躁状態とうつ状態の症状が入り混じる状態です。躁状態とうつ状態の移行期によく見られます。

混合状態では、気分が落ち込んでいるにもかかわらず身体が活発に動く、あるいは、動けない状態でありながら不安や焦燥感、苛立ちのみが強くなるといった特徴があります。

焦燥感とイライラ感が強く非常に不安定で、衝動的になりやすいため、自殺のリスクもあるといわれています。

躁うつの基本的な周期

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双極性障害では、躁状態(または軽躁状態)とうつ状態が表れる周期に個人差があります。

気分の波が2~3か月ごとに訪れる方もいれば、半年から1年かけて変動する方もいます。常に症状が出ているわけではなく、躁とうつの間には、症状がほとんど出ない「寛解期」があるのも特徴です。

一般的に、躁状態は突然表れやすく、治療を受けない場合は2~3か月程度続くとされています。

一方、うつ状態は躁状態よりも長引くことが多く、治療しないと6か月以上続くケースもあります。実際に、双極性障害の方は全体の30~50%の期間をうつ状態で過ごしているといわれています。

躁うつの周期が早いラピッドサイクラーとは

ラピッドサイクラー(急速交代型)とは、1年間に4回以上、躁状態とうつ状態の気分の波を繰り返すタイプのことです。

双極性障害のうち、10~15%ほどがラピッドサイクラーに該当するとされています。気分の変動がめまぐるしく、本人にとって大きな負担となります。

ラピッドサイクラーの原因のひとつとして、治療で使われる「抗うつ薬」の影響があげられます。抗うつ薬を服用することで、かえって気分の波が速くなり、症状が悪化するリスクがあるとの報告もあります。

躁うつの切り替わりのきっかけとは?

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躁うつの切り替わりのきっかけは個人差が大きく、はっきりと断定できません。一般的には、ストレスや生活リズムの乱れが引き金となることが多いとされています。

ここでは、躁うつが切り替わる主なきっかけについて紹介します。

ストレスフルな出来事や環境の変化

躁状態とうつ状態の切り替わりのきっかけとして、強いストレスを感じる出来事や、環境の大きな変化があげられます。

例えば、職場でのトラブルや人間関係のもつれ、家庭内問題が続くと、気分の波が切り替わることがあります。

また、離婚や大切な人との死別など、重大な喪失体験も大きなストレスとなり、躁うつのサイクルに影響を与えることがあります。

生活リズムの乱れ

生活リズムの乱れも、躁うつの切り替わりを引き起こす要因のひとつです。

例えば、夜更かしや徹夜が続いて睡眠時間が不足すると、心身のバランスが崩れやすくなります。

また、シフト勤務や夜勤による昼夜逆転、不規則な食事時間なども、体内時計を乱す原因となります。

服薬の不遵守

自己判断で薬をやめたり、服用方法を守らなかったりすると、症状が再発しやすくなります。

安定した状態を保つためには、医師の指示に従い、継続して薬を服用することが大切です。

躁うつの周期を安定させるために必要なこと

躁うつ病の周期を安定させるためには、医師の指示に従って薬をきちんと飲み続けること、規則正しい生活リズムを守ること、ストレスをコントロールすること、さらに専門家と定期的に連絡を取り合うことが大切です。

ここでは、躁うつの周期を安定させるために必要なことについて紹介します。

服薬の継続と自己管理

調子が良くなったからといって、自己判断で薬をやめてしまうのは非常に危険です。気分安定薬などの処方薬は、必ず医師の指示通りに継続して服用しましょう。

また、自分の気分や睡眠、日々の行動を「睡眠覚醒リズム表」などに記録しておくことも大切です。記録をつけることで、気分の波や生活リズムの変化に気づきやすくなります。

家族にも協力してもらい、本人の感じ方と周囲の評価に差がないか確認することで、より客観的に自分の状態を把握できるようになります。

規則正しい生活リズムの確立

気分の波を安定させるためには、十分な睡眠時間を確保し、毎日の起床や就寝時間をできるだけ一定に保ちましょう。

生活リズムが整うことで体内時計も安定し、躁状態が起こりにくくなります。規則正しい生活は、気分を安定させる上でも役立ちます。

ストレスの管理

ストレスをため込みすぎないよう、自分に合った方法で対処することも大切です。無理をせず、心身に負担を感じたら早めに休息をとりましょう。

また、重要な決断や大きな判断を下すときは、気分が大きく揺れている時期を避け、心が落ち着いているタイミングを選ぶと安心です。

専門家との連携

定期的に通院し、医師やカウンセラーに心身の状態や困っていることを相談することも重要です。

必要に応じて、認知行動療法や人間関係療法、社会リズム療法などの精神療法を受けることで、双極性障害への理解が深まり、自分に合った対処法を身に付けられます。

まとめ

双極性障害(躁うつ病)の周期や切り替わりのきっかけは個人差が大きく、2~3か月ごとに気分が変動する方もいれば、半年から1年かけて波が訪れる方もいます。躁うつの切り替わりのきっかけもさまざまですが、ストレスや生活リズムの乱れ、服薬の不遵守などが主な要因とされています。

安定した生活を送るためには、自分の気分や生活リズムを日頃から観察し、適切な治療を続けることが大切です。

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