障害者雇用の5つのメリット!導入を成功させるポイントも解説

この記事をシェアする

  • x
  • facebook
女性の画像

障害者の雇用を進めることは、多様性を重視した組織づくりや、企業イメージの向上など、企業にとって多くのメリットがあります。一方で、「法律で義務づけられているから」という理由だけで雇用に踏み切る企業も少なくありません。今回は、障害者雇用のメリットや導入する際の課題、成功へ導くためのポイントを紹介します。

障害者雇用を進める5つのメリット

車椅子の女性がパソコンを使用している画像

障害者雇用は、法令遵守だけでなく、企業の成長や社会的価値の向上につながる重要な取り組みです。まずは、企業が障害者雇用を推進することで得られる主なメリットを5つ紹介します。

企業イメージが向上する

障害者雇用に積極的に取り組む姿勢は、企業の社会的責任(CSR)を果たす上で欠かせない要素です。自社の利益だけでなく、ステークホルダー(消費者や投資家、社会全体の利害関係者)に対して配慮している企業として評価されることで、企業の信頼性やブランド価値が高まります。

また、CSR報告書において、ダイバーシティ推進の観点から女性やシニア、外国人と並んで障害者の活躍を紹介する企業も増えてきました。

このような企業の取り組みは、求職者や取引先、投資家からの共感や信頼を得やすくなり、優秀な人材の確保やビジネスチャンスの拡大にもつながります。

ダイバーシティ経営を実現できる

ダイバーシティ経営とは、多様な人材を積極的に受け入れ、イノベーションや企業成長につなげる経営手法です。経済産業省も企業の持続的成長のために、重要な取り組みと位置づけています。

障害者雇用の推進は、年齢や性別、国籍に加え、障害の有無にかかわらず一人ひとりの潜在的な能力や特性を活かせる職場づくりに直結します。自由な発想が生まれやすくなり、業務効率や企業の競争力を高めることにつながるのです。

出典:経済産業省「ダイバーシティ経営の推進

人手不足への対応につながる

少子高齢化の影響で、国内の労働力不足は深刻な問題となりつつあります。その中で、障害者を含む多様な人材の活用は、企業が今後も安定した事業運営を続けていくための有効な手段といえます。

シニア層や短時間勤務の雇用が注目される一方で、障害者雇用も労働力不足を補う貴重な人材として期待されています。障害者雇用に前向きに取り組み、多様な人材が協力して働く体制を整えることで、今後深刻化する人材不足への備えにもなるでしょう。

業務フローの見直しや業務効率化を図れる

障害者の雇用をきっかけに、業務内容を見直す企業は少なくありません。これまで見過ごされていた社内業務を整理することで、無駄を省き生産性を高めることも可能です。

これらの取り組みにより、業務全体の最適化につながることがあります。また、業務フローを再設計することで、障害者に無理なく任せられる仕事をつくることもできます。

税制優遇や助成金を受けられる

障害者雇用を進める企業には、国や地方自治体からの助成金や奨励金など、金銭的な支援があります。

障害者を雇用する際に得られる助成金のほかにも、職場の設備を整えたり、適切な雇用管理を行ったり、障害者のスキル向上や定着を支援する取り組みに対しても、助成金を活用できる場合があります。

これらの制度をうまく活用すれば、初期投資や継続的な支援にかかるコストの負担を軽減し、安定した雇用体制を構築できるでしょう。

障害者雇用の助成金について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

障害者雇用における助成金一覧|申請における注意点も解説

法定雇用率の達成に向けて、障害者雇用を検討しているものの、コスト面で悩んでいませんか。障害者雇用に関連して、さまざまな助成金制度が設けられています。今回は、障害者雇用で活用できる助成金の種類や注意点について紹介します。障害者雇用における助成金とは障害者雇用における助成金とは何か、助成金の背景や受給できる事業者の条件について紹介します。障害者雇用における助成金制度の概要障害者雇用促進法により、一定数以上の従業員を雇用している事業主には、法定雇用率以上の障害者を雇うことが義務化されています。法定雇用率とは、国が定める、常用労働者のうちに占める対象障害者の割合です。法的に障害者雇用が促進されたことにより、障害者の積極的な採用が進むようになりました。障害者雇用のためには、障害者の安全を確保した職場環境の整備が求められます。また、多様な特性をもつ障害者を受け入れる支援体制も必要です。障害者雇用の助成金制度は、事業主が障害者雇用を進めるために必要な環境整備ができるようにするものです。障害者雇用促進に役立つさまざまな、雇用関連の助成金があります。障害者雇用で活用できる助成金の受給条件事業者が雇用関連の障害者雇用の助成金を受給するには、各助成金の要件のほか、以下の共通事項を満たす必要があります。雇用保険適用事業所であること必要な書類を整備・保管すること審査や調査に協力すること会社都合による雇止めなどの事実がないこと(助成金によります) 等雇用保険適用事業所とは、原則として、労働者を1人以上雇用する事業所のことです。上記のほか、助成金ごとに定められた申請期間内に申請することも求められます。企業が活用できる障害者雇用の助成金一覧障害者雇用に関連して、企業が利用できる助成金を紹介します。障害のある方を雇用したい場合障害がある方を雇用した場合に利用できる助成金を紹介します。特定求職者雇用開発助成金|特定就職困難者コース就職が困難とされる高齢者や障害者を雇用した場合の助成金です。障害者については、身体障害者、知的障害者、精神障害者、重度障害者が対象です。支給要件として、ハローワークなどの職業紹介事業者を通しての雇用が求められます。継続して雇用することも条件です。対象の労働者を雇用した場合の1人あたりの助成金の額は、週あたりの労働時間や障害の重さなどで異なります。 対象労働者 支給額 短時間労…

https://me-gu-ru.net/media/column/98/

詳細を見る

障害者雇用を始めた企業が抱えがちな課題

障害者雇用には多くのメリットがありますが、導入を進める上で、さまざまな課題に直面することがあります。ここでは、企業が障害者雇用に取り組む際に生じがちな課題を紹介します。

障害者雇用の課題について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

障害者雇用における課題とは? 成功させるためのポイント

障害者の法定雇用率が2026年7月には2.7%へ引き上げられるにあたり、業務設計や職場環境の整備に課題を感じている企業も多いのではないでしょうか。今回は、企業と障害者の双方が抱える主な課題を整理した上で、障害者雇用を成功させるためのポイントを解説します。新しい形態として注目される「農園型障害者雇用支援サービス」についても紹介しますので、障害者雇用の担当者の方はぜひご覧ください。障害者雇用において企業が直面しやすい課題障害者雇用の推進が期待される一方で、多くの企業が何らかの課題に直面しています。月刊総務の調査によれば、企業は障害者雇用について課題を「とても感じている(61.0%)」「やや感じている(19.5%)」と回答しています。近年では精神障害者の雇用数が急増しており、厚生労働省の令和6年度調査では、前年比15.7%増と発表されました。こうした現状において、精神障害者の雇用に課題を感じている担当者の方も少なくないでしょう。まず、多くの企業が直面している障害者雇用の主な課題について解説しましょう。出典:株式会社月刊総務「8割以上が障がい者雇用に課題を感じているものの、7割以上が「適性・能力に合った仕事を割り振れている」と回答。受け入れ部門は管理部門が7割。」厚生労働省「令和6年 障害者雇用状況の集計結果」社内の環境が整っていない令和6年4月1日に改正障害者差別解消法が施行され、事業者による障害者への合理的配慮の提供が義務化されました。しかし、その対応が追いついていない企業も少なくありません。合理的な配慮の例として、エレベーターやスロープ、車椅子対応のトイレの設置といった物理的なバリアの除去があります。マニュアルの作成や作業手順の簡素化などは、業務面への配慮の例です。そのほか、視覚障害の方を対象とした音声読み上げソフト、聴覚障害の方向けの筆談ツールなどを導入している企業もあります。とはいえ、合理的配慮の準備には時間と手間を要することから、現場レベルでの理解や協力が得られにくいという課題があります。そのため、企業の受け入れ態勢については、ばらつきがあるのも事実です。採用が難しい企業側が身体障害者や知的障害者の採用を目指す方針であったとしても、実際の採用市場では精神障害者が圧倒的に多いため、そのギャップに課題を感じる採用担当者の方もいます。福利厚生が充実している大手企業に求…

https://me-gu-ru.net/media/column/147/

詳細を見る

離職率の高さ

障害者雇用で課題となるのが、離職率の高さです。障害者の離職率が全体的に高い傾向がある理由として、職場の人間関係や雰囲気、賃金や労働条件に対する不満、仕事内容のミスマッチなどがあげられます。

障害への理解不足や配慮の欠如が、障害者の早期離職につながるケースも少なくありません。

また、障害者を雇用するには、時間や労力のほかに一定のコストがかかります。そのため、離職率を考慮した上で、採用後の定着支援をしっかり行うことが重要です。

社内の受け入れ態勢の構築

障害者を採用するだけでなく、安心して働ける社内環境を整備することも欠かせません。受け入れ体制が不十分なまま障害者雇用を進めると、能力を十分に発揮できなかったり、周囲とのコミュニケーションに課題が生じたりする可能性があります。

さらに、職場全体のモチベーションが低下するおそれもあります。社員から障害者への理解を得ることは容易ではありません。法律上の義務だからと一方的に押し付けるのではなく、障害者雇用のメリットを実感できる工夫が必要です。

障害者雇用の導入におけるコスト

障害者雇用を進める上で、受け入れ体制を整えるためのコストは、企業にとって大きな課題といえます。企業には、障害者が安心して働けるよう職場環境を整える配慮が求められており、法律によって義務づけられているのです。

例えば、バリアフリー対応のための職場環境の整備や、専用設備、支援ツールの導入、通勤支援、周囲の社員に向けた研修など、多くの初期投資が必要となる場合があります。

さらに、障害者に合わせた柔軟な勤務体制やサポートするための人件費も必要です。これらの金銭的な負担は企業規模によっては重く感じることもあり、障害者雇用をためらう要因にもなりかねません。

障害者雇用を成功させるポイント

車椅子の女性の画像

障害者雇用を円滑に進めるには、事前準備と社内の理解が欠かせません。ここでは、障害者雇用を促進するポイントを紹介します。

経営層や人事部から意義を説明する

障害者を受け入れるには、事前に社内で理解を深め、不安を払拭しておく必要があります。まずは、経営層や人事部が障害者雇用の目的や意義を整理し、障害への正しい知識を持つことが重要です。

また、障害者を雇用する理由や進め方などを社員と共有しておきましょう。実際に障害者とともに働く社員の理解や協力がなければ、障害者の長期的な定着は難しくなるためです。

現場の準備が整わない状態で採用を進めてしまうと、後からさまざまな課題が出てくる可能性があります。受け入れ側の不安を減らすためにも、社内研修や情報共有の機会を設けることをおすすめします。

雇い入れる障害者本人へのヒアリングを行う

障害者に必要な配慮は、個人によって異なります。採用後は、本人と面談を行い、業務上の悩みや必要な支援などを具体的に把握しましょう。例えば、移動に車椅子を使う方には動線の確保、聴覚障害のある方には筆談などの配慮が有効です。

「障害者雇用促進法」により義務づけられた、障害者への合理的配慮を前提に、個別のニーズに応じた職場環境を整備することで、障害者の長期的な定着につながります。

障害者雇用促進法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

障害者雇用促進法とは?対象企業から求められる義務、違反リスクまで徹底解説

障害者雇用促進法により、障害者雇用の義務が発生することがわかっていても、具体的な内容を把握しきれていない担当者も多いのではないでしょうか。今回は、障害者雇用促進法の概要や改正ポイント、企業における義務について紹介します。障害者雇用促進法とは?障害者雇用促進法は、障害者の就労の安定を目的とした法律です。1960年に制定された身体障害者雇用促進法から始まり、名称変更や対象者の拡大、法定雇用率の引き上げなどによる改正を経て現在に至ります。正式法令名は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」といい、ここでは「障害者雇用促進法」と表記することにします。障害者雇用促進法の理念にあるのは、ノーマライゼーションです。障害の有無に関係なく、すべての国民が互いに尊重し合う社会の実現がベースにあります。障害者の保護ではなく、社会の一員として、障害者自身が能力を発揮して働ける機会の確保を目的としているのが特徴です。具体的には、障害者に対する職業的な差別の禁止、障害者雇用状況の報告、法定雇用率以上を達成する義務などが定められています。2024年の改正ポイント2024年の改正ポイントは4つあります。まず、法定雇用率の引き上げです。民間企業の法定雇用率は2.3%でしたが、2024年4月以降は2.5%、2026年7月以降は2.7%の引き上げとなります。1人以上の障害者の雇用義務が発生する範囲が拡大し、常時雇用する労働者が43.5人以上から40人以上の事業主になりました(2026年7月以降は37.5人以上に拡大)。2つ目は、雇用率の計算の対象が拡大されたことです。改定前は、週の所定労働時間20時間以上の障害者を対象としていましたが、改定により週10時間以上20時間未満の障害者も対象に含まれます。3つ目は、報奨金や障害者雇用調整金の支給の見直しです。これまで支給対象である障害者の人数に関わらず一律の金額が支払われていましたが、対象人数に応じて調整されることになりました。障害者雇用調整金については、支給対象が10人を超えるときは、超過分は、1人あたりの月額29,000円から6,000円の調整(減額)となります。報奨金は、35人を超えるときは、1人あたりの月額21,000円から超過分は5,000円の調整となります。4つ目は、助成金の新設と拡充です。障害者雇用に関する相談援助のための助成金などが新設され、障害…

https://me-gu-ru.net/media/column/109/

詳細を見る

各種機関へ相談する

障害者雇用を進める際には、外部支援機関の活用もおすすめです。例えば、ハローワークでは、障害者専用窓口で職業相談や紹介などの支援を受けることができます。実際、多くの障害者がハローワークに登録しており、人材確保に向けた重要な接点となるため、まずはハローワークに相談すると良いでしょう。

また、地域障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターでは、さまざまな事例を知ることができ、職場づくりのヒントが得られます。初めて障害者雇用に取り組む企業にとって、こうした支援は心強い味方になるでしょう。

助成金を活用する

障害者雇用に伴う設備投資や人員体制の整備には、費用が発生する場合もあります。企業側の金銭的な負担を軽減するために、国が用意している各種助成金制度を活用しましょう。

例えば、障害者トライアル雇用助成金や特定求職者雇用開発助成金、障害者雇用納付金制度に基づく助成金などがあります。助成金を活用する際は、事前に申請条件を確認し、適切に手続きを行うことが重要です。

障害者雇用支援サービスも検討する

社内の受け入れ体制が整わない場合は、外部の障害者雇用支援サービスを検討するのもひとつの方法です。なかでも近年注目されているのが、農園型障害者雇用です。

企業が雇用主となり、給与や社会保険の責任を持つ一方、日々の業務管理やサポートは農園型障害者雇用支援サービスが担います。

企業と正式な雇用関係にあるため、法定雇用率の対象にもなり、企業の負担を軽減しながら雇用を実現できるのがポイントです。

農園型障害者雇用を検討するなら、「めぐるファーム」にご相談ください。

めぐるファームでは、都心からのアクセスに優れた施設内で、障害者の方々に農業を通じた就業機会を提供しています。日々の作業指導や生活面のサポートを行いながら、将来的には企業での就労につながるよう支援しています。

農園は年間を通じて快適な温度管理がされており、自然災害に強いトラス構造のハウスを採用しているため、安心して働くことが可能です。

また、障害者雇用の経験がない企業様でも安心して取り組んでいただけるよう、管理者向けの研修制度もご用意しています。

めぐるファーム」の取り組みにご関心のある企業様は、ぜひ以下より詳細をご覧ください。

>>障害者雇用「めぐるファーム」の詳細はこちら

まとめ

障害者雇用を進めることで、企業イメージの向上やダイバーシティ経営の実現、人手不足への対応にもつながります。また、業務フローの見直しや効率化を図れるほか、税制優遇や助成金の活用も可能です。

一方で、障害者を受け入れるには、一定のコストや事前準備が必要です。そのため、企業と障害者の双方が安心して働ける環境を整えられるよう、社内で障害者雇用の意義を共有し、計画的な受け入れ体制を構築していきましょう。

本コラムに記載の内容は、2025年8月4日時点の情報に基づきます。

Profile

著者プロフィール

めぐるファーム編集部

障害者の雇用が少しでも促進されるよう、企業担当者が抱いている悩みや課題が解決できるようなコンテンツを、社内労務チームの協力も得ながら提供しています。

まずはお気軽にご相談ください。

提案書・見学・導入のご質問まで、専任スタッフが丁寧にご対応します。

「障害者雇用めぐるメディア」 は、株式会社NEXT ONEが運営する障害者雇用支援事業のメディアサイトです。
働くことは、誰かの役に立つこと。そして、自分自身を誇りに思うこと。
私たちは、障害のある方が自分らしく働ける環境を広げ、
雇用を支える企業や支援者とともに、持続可能な社会の実現を目指します。
このメディアでは、支援の現場、当事者の声、そして雇用のヒントを発信し、
すべての「はたらく」にあたたかいつながりを届けていきます。

Support work. Grow together.